術前の2分間ミーティングが医療ミスを減らす
手術チームメンバー間での、術前の2分間のミーティングにより、手術部位や患者の取り違えミスを低減できることが、米ジョンズ・ホプキンズ大学(ボルチモア)の研究で明らかにされた。
同大学では、標準化された手術室での術前短時間ミーティング・プログラムを施設方針としているが、米医学誌「Journal of the American College of Surgeons」2月号掲載の研究では、外科医147人、麻酔医59人、看護士187人、その他手術室担当者29人に対し、プログラムの施行開始前と開始3カ月後に調査を実施した。
ミーティングでは、スタッフ全員が自分の名前と役割を述べ、主執刀医が患者の身元や手術部位、患者の安全に関する懸念材料など、重要な内容を明示すことになっている。術前ミーティングの指導後、以前に比べ部位取り違えミスの削減に効果があると答えたスタッフが13.2%増加、90%以上が「手術前の打ち合わせが患者の安全にとって重要」と考えるようになった。
手術成績研究センター所長のMartin Makary博士は「術前ミーティングにより、スタッフの手術部位や手順に関する認識や、安全に対する意識の向上が認められた」と述べている。
米国の約1万5,000箇所の医療組織やプログラムを審査・認証する共同委員会は、術前ミーティングの実施を推奨しているが、全米基準は設定していない。Makary博士は「共同委員会は、コミュニケーション不足が部位取り違えの根本原因だと明らかにしている。我々の研究は、ミスの回避にはミーティングが有用だとするスタッフの認識を明らかにした」と述べている。