胃痛・胸やけはなぜ起こる?
▽胃痛・胸やけはなぜ起こる?
-その原因と症状-
「胃痛」や「胸やけ」はどういう時に、
なぜ起こるのでしょうか?
痛みというのは人によって感じ方が違いますが、胃酸が関係する胃痛の場合は胃壁の内側の筋肉組織などの末梢神経が存在する部分が、胃酸によって刺激された時に痛みを感じるのです。胃痛でも、ただれや潰瘍の痛みと、食べ過ぎの場合の痛みとは質が違います。ただれや潰瘍の痛みは胃酸が関係しており、焼けるように痛む・物を食べると痛むといった短時間的な痛みが多いのが特徴で、食べ過ぎの痛みは、胃が膨らむことでお腹がつっぱって感じる痛みです。
ストレスや心配事によっても胃痛は起こるのですか?
ストレスなどの刺激によって、粘液などの分泌量が少なくなると、胃酸が粘膜を傷つけ、痛みを起こすこともあります。ただ、ストレスは人によって感じ方が違いますし、その症状も異なりますので、自分の場合、どんな症状が出るのかを経験からある程度判断して、自分に合った予防法あるいは治療の方法を見極めることが大切です。
では「胸やけ」はなぜ起こるのですか…
一般的には、酸性の胃液が食道に逆流し、食道の粘膜が荒れて起こるといわれます。しかし胃液が明らかに逆流している場合でも胸やけしないこともあるので、必ずしも胃酸だけが胸やけの原因ではないのですが、酸を中和すればほとんどの場合治まっているので、まずは、胸やけを抑えるには胃酸の分泌を止めることが有効な手段だと思います。いずれにしろ、胃痛・胸やけはほとんどの場合、胃酸が関係して起こります。
胸やけがおきた時、胃酸がこみ上げてくるのはなぜ?
食道と胃の境目のパッキング(噴門)を越えて、胃酸が食道の方に逆流してくるからです。暴飲暴食などで胃酸がたくさん出ている状況で腸にスムーズに食物が流れない時に寝ころがったりすると胃酸が逆流しやすくなり、胸やけを起こします。
▽胃酸の出るメカニズム
胃酸が胃の環境に深く関係していることがわかりました。次にその分泌のメカニズムを教えて下さい。
胃酸の分泌は脳、胃、十二指腸の連携によって調節されています。まず、おいしい食べ物を見たり、においを嗅いだりすると、その刺激が大脳から自律神経系を介して胃に伝わり、胃酸の分泌を促すのです。また、食物が胃に入ってきて、直接胃壁を刺激することでも胃酸は分泌されます。胃での消化が終わって食物が十二指腸に移ると、今度は胃酸の分泌が抑制されます。
胃酸の分泌は、どのようにコントロールされているのですか?
人間の体にはセルフコントロール機能が備わっているのです。いうならば、胃の中にコンピュータがあって、胃酸の分泌も抑制もオートセンサーで全てコントロールされているのです。
▽胃酸の出過ぎで起こる不都合なこと
このオートセンサーが機能しなくなると、胃酸が出過ぎて胃痛や胸やけになるのですね。
その通りです。オートセンサーが機能不全に陥る原因としては、お酒やストレス、香辛料、風邪薬や消炎鎮痛剤など様々な要因が考えられます。このような時には胃酸を中和したり、胃酸の分泌を抑制することが大切です。
中和したり、抑制するのは薬でできるのですか?
そうです。ただし、胃酸が関与していると思われる場合だけに限ります。胃の粘膜は、粘液と、胃酸分泌をコントロールするオートセンサー機能によって保護されているわけですが、こうした防御機構と、ストレスなどの攻撃因子とのバランスが崩れた時に、潰瘍などの病気が発生するのです。
ですから、胃酸が出過ぎている場合には、中和したり、胃酸の分泌を抑制する薬を服用するとよいでしょう。
煙草は食後の一服でも胃に悪い?
煙草は血管を収縮させ、血液の流れを悪くするので、胃を酸から守っている粘液を作る細胞に血液が少なくなり、胃の防御機能が低下します。また、胃酸の分泌も減少し、消化活動も低下するので、食後の一服は胃にとって禁物です。