賛否両論のオーガニック食品
「オーガニック(有機食品)」表示の食品を見かける機会が増えている。いまや健康食品店や農家直営店だけでなく、普通のスーパーマーケットでも多くなった。
米国の有機食品産業は2003年の消費者売上高が100億ドル(約1兆2000億円)を超え、市場は1997年以来、年に17〜21%ずつ成長している。
米国農務省(USDA)によると、「オーガニック」とは、通常使われる農薬や合成肥料、下水汚泥で作った肥料、生物工学的手法、電離放射線を用いないで育成された食品を意味し、肉や卵、乳製品の場合、抗生物質や成長ホルモンを投与されていない動物からの製品を意味する。
「オーガニック認証」という表示は、USDAの基準に従って育成・加工されたことがUSDAの認めた認定機関により証明されたものを指す。この基準は1990年の有機食品生産法で定められた。ただしUSDAは有機食品がより安全だとも、より栄養価が高いとも保証はしておらず、その真価は賛否両論である。
農薬すべてが即座に人を殺すわけではないが、その蓄積効果はよいとはいえない。臭化メチルのように癌(がん)に関与するものもある。しかし地下水にはいくらかの農薬が残っているので、有機食品であっても農薬ゼロとはいえない。それに有機栽培農家も農薬を使っている。ジョチュウギクから作った農薬を用いる場合、有機栽培農家はこれを農薬ではなく「植物製品」と呼んでいる。また12カ月以内の有機肥料や堆肥を使った有機農産物では、大腸菌レベルが高いというデータもある。
米国有機食品消費者協会(OCA、ミネソタ州)は、有機食品の栄養価が高いことを示す証拠は多いと主張する。しかしビタミンC、E、ベータカロテンの含有量は有機栽培のスモモで高いが、ケルセチン、ビオフラボノイドなどは通常栽培のスモモのほうが高いと示した研究もある。
いずれにせよ、すべての人が認めるのは「有機食品は高い」という点で、乳製品だと通常より15〜20%高く、肉だとさらに高くつく。