標準的検査では女性の心疾患は見逃される
心臓血管造影などの標準的検査を実施しても、女性の心疾患を警告する徴候が見逃される可能性が高いことが、米国の大規模な研究で明らかになった。研究結果は、米国心臓病学会誌「Journal of the American College of Cardiology」2月6日号および同誌オンライン版1月31日号に掲載された。
虚血性心疾患(IHD)は米国における死亡原因の第1位で、特に女性では圧倒的な割合を占めており、年間25万人が死亡している。米国立衛生研究所(NIH)が1996年に開始した「女性の虚血症候群に関する研究(WISE)」では、ルーチンの心臓血管造影で検出されるのは主要血管の著しい閉塞のみで、女性特有のより細い血管の閉塞は検出されないことが判明した。解剖学的に閉塞部位は知ることはできても、血管内壁の状態を知ることができないため、特に冠動脈造影には女性の諸症状を検出するほどの特異性がないという。
WISE研究プロジェクト責任者、米国立心臓肺血液研究所(NHLBI)のSopko博士によれば、血管造影で異常のなかった女性の大半で症状が継続し、検査と入院を繰り返し、生活の質(QOL)が低下しているという。「有意な閉塞が認められなくても虚血の徴候を呈している女性が、のちに心臓発作(心筋梗塞)を引き起こすリスクが高いことが、今回大規模な研究によって明らかにされた」と述べる。
米Lenox Hill病院(ニューヨーク)女性専門心臓病治療科部長のNieca Goldberg博士は「女性の場合、血管造影によって閉塞が認められなくても、標準的検査では検出されない微小血管に病態が発症している恐れがある」という。こうした発症メカニズムの検出に必要なすべての手段は整ってはいないが、医師は著しい閉塞がないにもかかわらず症状の発現をみている女性に対して、問題を見逃さないよう忠告している。