一酸化炭素中毒は心臓にも障害もたらす
一酸化炭素が脳に障害をもたらすことは知られているが、この無色無臭のガスが心臓にも重篤な障害を引き起こすことが明らかになった。
米ミネアポリス心臓病研究財団(ミネソタ州)研究部長のTimothy D. Henry博士らの研究で、一酸化炭素中毒で入院している患者は、その後7年間の死亡リスクが有意に高く、特に心臓障害による死亡リスクが高いことが明らかになった。同博士は「これまで一酸化炭素中毒の研究では、神経系の合併症のみに焦点が当てられてきたが、われわれの患者グループでは40%に心血管の障害が認められた」という。
Henry博士らは、地方の医療施設で中等度から重度の一酸化炭素中毒症状で治療を受けた成人230例の健康状態を追跡調査した。通常の調査内容に加えて、心筋組織が損傷された際に産生されるトロポニンの血中濃度も評価したところ、患者のほぼ3分の1に心筋損傷が認められた。患者は若者が多く、入院時での心臓病の症例は少なかった。
今後の対策として、同博士は救急室の医療スタッフがこの問題を認識し、中等度から重度の一酸化炭素中毒患者には、心臓障害の有無を明らかにするために心電図およびトロポニン値の評価を実施する必要があるとしている。研究は、米医学誌「JAMA」1月25日号に掲載された。