アレルギー アレルギーってなに?そのメカニズム
アレルギーが起こるメカニズムは、人間が本来もっている体の防御反応と深い関係、というよりもむしろ、表裏一体の関係にあるといえます。
人体には、ウイルスや細菌などの病原体をはじめ、ダニ、ホコリ、花粉などといった異物の侵入に対処する仕組みが備わっています。一度侵入して体に悪影響を与えた犯人を覚えておき、再び同じ犯人が攻め入ってきたときに、その記憶から悪者だと判断して強制排除に乗り出すのです。これがいわゆる免疫反応。まさに「疫病を免れる」ために重要な機能です。
このすぐれた生体防御システムが正常に機能していれば、何ら問題ありません。しかし、生活スタイルの問題などさまざまな要因が重なりあうと、このシステムの作用に乱れが生じてしまうことがあります。そして、わずかな刺激にも過剰に反応するようになってしまうのです。
異物を排除しようとする働きに変わりはないのですが、そのとき、体に現れる諸症状の程度によっては、かえってそれに苦しめられてしまうことに……。
このように、本来の生体防御機能が人体に不利な形で作用してしまうこと、それが「アレルギー反応」なのです。
ひとくちにアレルギーといっても種類はさまざま。それらは、原因物質(アレルゲン)や症状の部位・現れ方などによって分類されます。
「3大アレルギー」
●アトピー性皮膚炎
何らかの刺激に反応して、かゆみをともなう湿疹を主とする皮膚症状を起こし、悪化したりよくなったりを慢性的にくり返す
●気管支ぜんそく
ダニ、ハウスダスト、花粉などを原因とするアレルギーによって起こるが、アレルギー以外の原因によるケースもある
●アレルギー性鼻炎
ハウスダスト、ダニ、花粉などのアレルゲンが鼻の粘膜に付着して、鼻水・鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ・充血などの症状が起こる
上記の3つは「3大アレルギー疾患」に位置づけられ、とくに患者数が多いことでも知られています。その他にもアレルギーにはさまざまな種類がありますが、代表的なものをいくつかあげてみましょう。
●物理アレルギー(日光アレルギーなど)
強い日差しや寒冷(あるいは温暖)な空気などの物理的な刺激によって、じんましんなどの皮膚症状・ぜんそくなどが起こる
●食物アレルギー
特定の食品をとることによりアレルギー症状が起こる
●化学物質過敏症(シックハウス症候群など)
微量の化学物質でも敏感に反応して頭痛、めまい、吐き気、目の痛みといった症状をきたす
●接触性皮膚炎(金属アレルギーなど)
特定の物質が肌にふれると、その刺激に反応して皮膚に炎症を起こす
●アレルギー性結膜炎
ほこりや花粉などのアレルゲンが目に付着し、かゆみや充血、腫れなどの症状が起こる
ちなみに、食物アレルギー、物理アレルギーなどは、原因によるアレルギーの分類であって、具体的な疾患名をさす言葉ではありません。
だからといって、なんでもかんでもアレルギーのせいにせず、大切なのは医療機関に受診して、医師の確定診断を仰ぐことです。自己診断によって、市販の薬を適当に使ったり、自己流の食事制限や民間療法を試したりといったことは、間違いですからやめましょう。
医療機関ではまず、具体的な症状と発症時期、ライフスタイル、家族歴などの問診や症状の観察が行われます。
検査はアレルギー反応の有無を判定するための血液検査、アレルゲンの特定をするための皮膚テストなどが主に行われます。
医療機関での治療法は、症状を抑制するための薬物治療と、原因の特定に基づいた全般的な生活指導が柱となり、ケースによってはさらにさまざまな補助療法を併用することがあります。
ただ、原因・症状に適した療法という点で、アレルギー疾患は非常に個別性が高いため、具体的な治療法として普遍的なものはなく、実際に受診してからの個別検討となります。
また、全てを医師任せにするのでなく、患者側でも指導内容の実践、症状の観察などを行うことが大切です。
アレルギーの原理はよく「器から水があふれ出た状態」にたとえられます。注がれる水(アレルゲン)の量が、器の容量(=体質)を超えてしまうとアレルギーが起こる(水があふれる)というイメージです。アレルギーの病気は「体質だから……」とあきらめてしまいがちですが、それは間違い。生まれもった器には個人差がありますが、注がれる水をできるだけ減らし(アレルゲンを遠ざけ)、生活習慣から器を大きくする(体質を改善する)ことで、症状の発現をコントロールすることは可能なのです。