アレルギー シックハウス症候群
農薬や住宅建材、有機溶剤や医薬品など、化学物質はさまざまなものに含まれています。なかでも揮発性の化学物質に対し、ほんの微量であっても反応して症状を起こしてしまうのが化学物質過敏症です。
新築の家の建材に含まれるホルムアルデヒドなどの有機溶剤が原因で起こる、シックハウス症候群もそのひとつ。
頭痛や吐き気などの不定愁訴として現れることが多く、湿疹やぜんそくなどと比べて目に見えない症状であるため、辛さが周囲に理解されにくいという問題があります。
また、化学物質過敏症の名が使われ始めたのはごく最近のことでもあり、医師にも、まだその存在に明るくない人が多いといわれています。
化学物質過敏症は、それと見極めるのが非常にむずかしい疾患です。例えば大きなビルなどの場合、そこにいる人の20%以上が特定の化学物質に反応しているかどうかを判断の目安にします。
しかし、「これが原因」と言い切ることは難しいのが実状。そうするには、無菌室のように化学物質の全くない部屋をつくり、そこで生活させて一種類ずつ化学物質にふれさせていく方法しかありません。そうして調べなければ「疑わしい」とまでしかいえないのです。
化学物質過敏症は誰もがなり得るもの。それまで全く平気だったのに、突発的に起こることもあるといいます。
化学物質過敏症に対する抵抗力には、人それぞれの容量があり、これまでに受けた化学物質からの影響の多さや、精神的・肉体的なコンディション、個人的な体質などの条件が重なり、その容量をオーバーしてしまうと、症状が現れるのです。
対策としては、原因となる化学物質に接しないようにすることしかありません。とはいっても、その原因を特定するのは難しいため、たとえば新築の家に住んでいて調子の悪い人は、換気を十分に行いましょう。汗をかいたり、排尿で化学物質を体の外へ出すことも有効です。
生活環境におけるアレルギー要因として筆頭にあげられるのが、ダニ、ホコリ(ハウスダスト)。口や鼻から吸い込んだり、皮膚にふれたりすることで、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などを起こしやすい代表的なアレルゲンです。とりわけ、体長0.2〜0.3ミリしかないチリダニという種類のダニがアレルギーの主役になっています。
ダニの発育に最適な環境は、気温20〜30度で、湿度が60〜80%。つまり、人間にとっても快適な環境。コンクリート住宅が増えて住まいの気密性が高まり、冷暖房設備が発達したおかげで、現代はダニの繁殖に好都合な環境が一年中整っているといえるのです。また、生きたダニだけでなく、その死骸やフンもアレルゲンとなるため、注意が必要です。
対処法としては、部屋の通気と換気、そしてなにより、こまめな掃除。
畳やじゅうたん、ふとん、ソファなどに繁殖しやすいので、しっかりと掃除機をかけましょう。カーテンやクッションにもかけてください。掃除機の排気はホコリがいっぱいなので、掃除中は窓を開け、掃除機の排気口はできるだけ窓の方向へ向けておきます。
布団を干す場合は、晴れた日の10時から14時頃に、必ず両面干しましょう。ただし花粉の多い時期は外で干さず、布団乾燥器を利用するようにします。その後に掃除機をかけ、ダニの死骸を吸い取ります。マットレスや押し入れのなかも通気をよくしましょう。
ペットもアレルゲンの宝庫です。特に犬、猫、鳥。これらの毛につくダニやノミ、外から運んでくる花粉や細菌がアレルギーを起こすほか、ペットのフケや抜け毛はダニのエサとなり、繁殖させてしまいます。また鳥の羽毛はぜんそくを悪化させます。これは生きている鳥だけではなく、羽毛布団やダウンジャケットでも同じことです。