花粉症の季節がやってきた!
2月になるとスギ花粉前線が日本列島を北上。花粉症の季節の到来です。「私はアレルギー体質じゃないから大丈夫」……そんなことをいっている場合ではありません。昨年までは大丈夫でも、今年も大丈夫とは限りません。なんといっても今や日本人5人に1人が花粉症とか。しかも「花粉症当たり年」の翌年には初めての発症者が増えるといいますから、昨年の大流行の翌年である今年、発症の危険はおおいにあり得ます。そのあたりの原理から理解し、本当に大丈夫か、それとも予備軍かを見分け、適切な対策を講じましょう。
花粉症の症状は、クシャミ、鼻水、鼻づまり、そして目のかゆみの4大症状。かぜのシーズンと一致することから、初めてかかった人の場合には、鼻かぜと見分けがつきません。とくに春先には鼻かぜが多いので、間違いやすいものです。
花粉症の特徴は、まず連続しておこるクシャミ。花粉が飛散している間中続き、一度始まると続けざまに出るのが特徴です。鼻水は水のように透明でサラサラしていますが、いつまでも流れ、次第に粘液質の鼻汁に変わります。鼻づまりはかぜに比べるとひどく、両方の鼻が完全に塞がることもあります。
これにプラスするのが目のかゆみ。鼻かぜと大きく違うのが、この目のかゆみです。鼻かぜのときにも涙目になりますが、違うところはこすらずにいられないほど、かゆくなることです。この目のかゆみが出たら、鼻かぜではなく、花粉症に間違いないと思ってよいでしょう。
あとはかぜと同様に、全身の倦怠感、頭が重くてボーッとする、よく眠れない、熱っぽいなどの全身症状が伴ったりします。とにかく、そのシーズンが終わるまでは、そのうっとうしい症状と体調不良にひどく悩まされることになります。
そして困ったことには、いったん発症すると、毎年、花粉の飛び交う時期になると同じ症状を起こすことです。一般的にはスギ、ヒノキの花粉が原因になっていることが多く、2月あたりから始まり、花粉のなくなる4〜5月くらいまで続きます。ただし、最近ではブタクサやヨモギの花粉など、秋になって発症する花粉症も多くなっています。
花粉症は、空気中の花粉を呼吸によって吸い込むことから始まります。花粉を有害物質と認識した防御機構が抗体をつくり、この抗体の量が水準以上に多くなったときに現す症状が花粉症。
だからといってすべての人が花粉症になるわけではありません。かかるのはアレルギー体質と呼ばれる人。
花粉症は、体外から侵入するアレルゲン(花粉)と体内でつくられる「IgE抗体」との結びつきによっておこります。この花粉と結びつく「IgE抗体」は、アレルギー体質の人だけにつくられます。
そのアレルギー体質の人でも、花粉に触れたらすぐに花粉症が発症するわけではなく、接触を繰り返しているうちに「IgE抗体」が次第に蓄積され、ある水準に達すると発症の準備が整います。
そして発症準備ができた人が、再び同じ花粉に接触すると、アレルゲン(抗原)と抗体が結びつく「抗原抗体反応」によって、花粉症特有の症状が出てきます。
したがって、突然の発症のように見えても、実はその陰には、長年の積み重ねがあるのです。そのため、昨年のように「花粉症の当たり年」といわれるほどに花粉が多かった年の翌年には、抗体が水準量を超え、発症しやすくなるというわけです。
何の花粉であろうとも花粉症の原因は花粉ですから、予防策はまず第一に花粉に接触しないことです。シーズンは限られているのでできる限り接触を避けながら、とにかくシーズンの終わりをじっと待つことも大事です。
とはいえ、このシーズン中一歩も外出しないわけにはいきませんから、一般的に薦められている花粉除けの対策を、それぞれのライフスタイルに応じて取り入れてみるのも一手。それには次のようなものがあります。
外出時にはマスクをする
髪をまとめて帽子をかぶる
コンタクトレンズをやめて眼鏡を使用する
帰宅時にはうがいをし、目を洗う
玄関に入る前に衣服はよくはたいて花粉を落とし、居間や寝室に持ち込まない
洗濯物は花粉を払ってから取り込む
布団はカバーをつけて干し、花粉が綿のなかにもぐり込まないようにする
車のエアコンやファンは、花粉を吸い込むことになるので注意
とくに家のなかに入った花粉はなかなか出て行かず、家族全員が花粉の危険にさらされることになるので、できるだけ花粉の侵入を防ぐよう注意しましょう。
スギ花粉は、晴天で湿度が低いときに飛散しやすくなります。例年2月ごろから症状が出始めるので注意しましょう。本格的飛散期になると4月ごろまで、2〜3日に1回のピークがあるので花粉情報に注意するなどして積極的にコントロールしましょう。雨や雪が降ったときには、花粉飛散はほとんどありませんが、天候回復に伴い、温かくなれば、次の飛散が始まります。いっとき、症状が和らいでも、シーズンが終わるまで、安心は禁物です。