子宮内膜症の実態
現在の医学と医療では、発症すれば閉経まで完治することはないといわれ、再発しやすく、完治がむずかしい子宮内膜症。女性の3人に1人はかかっているといわれる現代女性を襲う婦人病です。子宮内膜症協会では「子宮内膜症患者実態アンケート調査」により、その実態を明らかにしています。
主な症状はさまざまな痛み
子宮内膜症協会では、46都道府県と海外に住む、平均36.3歳の女性2200人(有効回答率1073人)を対象に調査したところ、子宮内膜症は、社会や家庭で自分らしく働きたい、生活したいという10代後半から50歳過ぎの女性の生活の質に、長く大きな影響を及ぼしていることがわかりました。
症状のなかでもっとも多いのが痛み。その痛みの内容は実にさまざまで、月経痛(月経のときの下腹部痛や腰痛)が主症状といわれていますが、月経以外のときにも7割以上の女性が下腹部に痛みを訴え、腰痛や排便痛もかなり多くの人にみられます。肛門奥の疝痛(刺すような痛み)、性交痛なども高率で現れています。痛んでいる期間も、2〜3日で治るという人から、何週間も続くという人など、かなりの幅があることが明らかになっています。また、痛みだけでなく、そのほかの症状も多岐にわたっていることも明らかです。
治療しても再発、妊娠・出産率が低下
子宮内膜症の症状は、妊娠によって治るなどともいわれてきましたが、医学的には根拠のないもののようで、それよりも子宮内膜症を放置しておくと、不妊の原因にもなることも、この調査で明らかになっています。
実際に治療を行ったとしても、治療後の最初の月経から再発した人も含めて、半年間で再発した人が58%にものぼり、結局ほとんどのケースが再発。また、確定子宮内膜症(手術を受けて子宮内膜症の病巣が確認されているもの。全体の56%)の人がその治療後、妊娠にとり組んでも、妊娠・出産できたのはわずかに2割程度。7割の女性は妊娠すらできなくなっており、残りの1割は妊娠しても出産まで至らないという結果がでています。