生活習慣病-糖尿病-
事で摂取した糖分は、消化吸収されてブドウ糖になり、血液中に入って全身を巡り、細胞にエネルギーを供給します。
糖尿病とは、血液中に入ったブドウ糖の利用を助ける役割をするインスリンというホルモンの働きが不十分か、まったく分泌されないためにおこる病気です。
このインスリンは膵臓でつくられ、血液中に分泌され、血液といっしょに全身を巡ります。そしてエネルギー源であるブドウ糖を全身の細胞に送り込む役割をしています。
インスリンが正常に働かなくなると、ブドウ糖は細胞のなかに入りにくくなり、そのまま血液中に残るため、血糖値が高くなります。反対に細胞ではエネルギーのもとであるブドウ糖が入ってこないため、エネルギー不足になり、栄養失調状態になり、全身がだるくなったり、やせてきたりします。
なぜインスリンの働きが悪くなるのか、分泌されなくなるのかについては、現段階では原因不明ですが、その原因のタイプには4つの型があることがわかっています。
そのひとつには、自己免疫不全やウイルス感染などによってインスリンをつくり出す細胞が壊れてしまうために発病し、注射などでインスリンを補わなくてはならない1型糖尿病があります。しかし、この型は日本人にはあまり多くありません。
生活習慣と関わっており、問題になるのが2型糖尿病。食べ過ぎや運動不足、その延長線上での肥満などがきっかけになってインスリンの働きが悪くなることから発病します。日本人患者の場合、90〜95%が2型といわれています。
そのほか、特定の原因によるその他の型、妊娠糖尿病の4つの型に分類されています。
いずれにしても、いったん発症すると元に戻るのがむずかしく、一生つき合わなければならないやっかいな病気といえます。
本人に圧倒的に多い2型糖尿病の始まりは、インスリンの働きが悪くなった状態です。つまり、インスリンの性能が悪くなり、効きが悪くなった状態です。性能が悪くなれば、それを補うために、膵臓は過剰にインスリンを分泌し続けます。そうなると、なおさらエネルギーに変換されない糖が血液中に増加していきます。それがプレ糖尿病といわれる糖尿病の前段階。
この状態のまま放置すると、次第にインスリンを出す細胞が疲れはて、ついにはインスリンの生産が低下し、最終的には破壊されてしまいます。これが本物の糖尿病です。
そこで、まずインスリンの働きが悪くなったプレ糖尿病のときにコントロールし、正常に戻してやることができれば、発症を阻止したり、発症時期を大幅に遅らせたりすることが可能です。
日本糖尿病学会では、糖尿病患者を少しでも軽症のうちにすくい上げるために、平成11年5月に糖尿病の診断基準を変更しました。
次の1・2・3のいずれかひとつに該当する場合には糖尿病と診断されます。
1. 早朝空腹時の血糖値が140mg/dl以上
2. 随時血糖値が200mg/dl以上
3. 75グラム経口ブドウ糖負荷試験での2時間値血糖200mg/dl以上