歯周病はこわ〜い生活習慣病
少し昔までは「成人病」といわれた生活習慣病。成人病と生活習慣病はあたかもイコールのように思われていますが、実際にはそうではなく、成人病は加齢に着目した疾患であり、生活習慣病は生活習慣に着目した疾患です。なぜ、そうした名称の変更をしなければならなかったのか、といえば、中高年以降におこると考えられていた成人病が、加齢に関わりなく若年層にも起こり始めたことによります。そして、若い時代から生活改善に取り組まなければ、本当の予防にはならないからです。
成人病と呼ばれている時代にはそのなかに名が入ってなく、生活習慣病になってから入った疾患のひとつに歯周病があります。
この歯周病、昔は歯槽膿漏といい、歯茎から膿が出る病気として、ひどい口臭を放つ不潔の権化のような病気と考えられていました。
しかし、この歯周病は、決して中高年がかかる歯の疾患ではなく、早くは10代からかかっている病気であることが次第に判明し、歯周病は歯だけの問題ではなく、全身にかかわる生活習慣病であることが明らかになってきました。
歯周病が生活習慣病といわれるゆえんは、まず口腔内の清掃という生活習慣に由来しているからです。疫学研究では、喫煙習慣、歯間部清掃用器具使用の有無、過度の飲酒、定期歯科検診・受療の有無、食習慣、歯磨き回数などが示されています。なかでも歯磨きについては、歯間部には専用の清掃用器具を使用することを特出しています。歯ブラシでは磨き切れない歯間はデンタルフロスや歯間ブラシなどを使用。歯周ポケット内に入り込んだ歯周病菌を少しでも追い出すためにはそれぞれのメーカーが工夫した歯ブラシや空気を送り込むハニーブレスのような器具を使い、目一杯自助努力することは大事です。その上で定期的な歯科検診を行いましょう。
一度発生すると歯と歯ぐきの境目で増え続け、最後には歯を支える骨にまで影響を与える、歯周病菌。多くは嫌気性の細菌で、文字どおり空気を嫌い、空気に触れると数秒間で死滅してしまう、といわれています。こうした歯周病菌の特性を活かして歯科医との共同開発によって誕生した予防健康器具が「ハニーブレス」。お口のなかの健康づくりをお手伝いします。
歯周病は中年以降がかかる不潔に起因する歯肉の疾患……そう考えられてきましたが、いや、全身の疾患に関わる重大な生活習慣病のひとつであることが最近次第に明らかになってきています。 そのあたりの相関関係をもう少しくわしく説明しましょう。
生活習慣病の代表は、がん、糖尿病、高血圧、心臓病、脳卒中などなど。日本人の死因のワースト3も1位がん、2位心臓病、3位脳卒中になっています。実は、このなかでもっとも相関関係が明確なのが2位の心臓病との関わり。歯周病は、心臓病を引き起こす重大なリスクファクターのひとつであり、歯周病にかかっている人はそうでない人の2倍もの確率で心臓発作を起こすというデータが明らかになっています。 研究を行ったのは、アメリカのいくつかの大学の研究者たち。
彼らの研究によると、歯周病を放置しておくと、その菌は全身疾患を進行させ、生命さえも脅かすというのです。そのメカニズムは次の通り。
歯周ポケット内に入り込んだ歯周病菌は、ポケット内の血管から血液に入り、流れにのって全身に飛び散ります。そしてさまざまな臓器や器官に侵入、循環器系、呼吸器系、糖尿病などの疾患を進行させるというのです。とくに心臓疾患のリスクは20%アップし、25〜49歳までの若い層では70%まで上昇するといいます。