口臭が気になる
口から吐く息にいやな臭いがするものを口臭といいます。口臭があるかなと感じたら、まずは原因究明が第一。原因がはっきりすれば、対策は必ずみつかるものです。
まず、口臭には次の3つの種類があります。
(1)生理的な口臭
(2)食べ物が原因の口臭
(3)病的な口臭
これらのように実際に臭いがあって、客観的に判定できる口臭を「他臭症」と呼びます。反対に、完璧なほどきれいな口腔状態であり、口臭が認められないにも関わらず、他人の言葉や態度で口臭があると思い込み悩みつづける状態を「自臭症」と呼び、最近大変多くみられるようになっています。
それでは、それぞれについてもう少し詳しくみていきましょう。
「生理的な口臭」
誰もがもっている自然な臭いで、ほとんど気になりません。しかし、起床時や食後2〜3時間には臭いが強くなります。また、緊張したり、ストレスが強いとき、月経時や妊娠時にも口臭が出やすく、齢をとると“老人臭”が強くなります。
「食べ物による口臭」
食べ物や飲み物の臭いが残っておこるもの。一過性のもので、時間とともに消滅。タバコによる口臭もあります。
「病的な口臭」
口の中が不潔であったり、病気である場合におこるもの。病的な口臭は、さらに次の2つに大別されます。
(1)口の中の病気
(2)全身的な病気
「病気による口臭」の8割強を占めるのが「口の中の病気」です。これには、虫歯や歯垢、歯槽膿漏・歯肉炎(歯周病)、義歯や金属冠ブリッジなどの義歯垢、舌苔などがあります。
なかでも口臭の発生に最も大きな影響を及ぼすのが「歯周病」。これは、歯肉が歯垢とそのなかの細菌に侵されて、歯肉の内側で歯を支えている歯槽骨にも細菌感染や炎症が波及し、歯の支えとなっている骨が吸収され、やがて歯が抜け落ちてしまう病気です。中高年世代に最も多くみられ、年をとるとともに症状が明確になってきますが、最近では10〜20代の若い人の間に、急激に症状が悪化するタイプも広がってきています。
そのほか、口臭の原因となる全身的な病気には、消化器系・呼吸器系の病気、鼻や咽喉の病気、代謝性の病気、熱性疾患・癌など唾液が出にくくなる病気などがあります。
歯周病の初期には、痛みや出血などの自覚症状がほとんどないため、気づかないうちに症状は着々と進行していきます。
歯周病であるかどうかを正確に診断するには、歯科医を受診し検査をしてもらうことがいちばん。レントゲンによる歯の撮影や、歯肉の状態・歯周ポケットの深さなどをチェックしてもらうことで、初期の歯周病も発見することが可能です。
一度できてしまった虫歯が自然に治ることがないように、一度かかってしまった歯周病も、治療をしない限り自然に治ることはありません。ほかの病気と同様に早期発見、早期治療が治療やコントロールへの近道です。
最近では、日本でも口臭に対する関心が非常に高まり、口臭外来のある病院、また口臭対策に力を入れている歯科医院も数多く存在します。ひとりで悩まず、まずはなんでも話せる歯科医に相談し、治療を受けることが大事です。原因究明、適切な処置、日頃のケアの三拍子を心がけ、きれいな息を手に入れましょう。