精液でアレルギー反応がある?
精液アレルギーとは、精液に対するアレルギー反応のことをいいます。本当にごくまれにではありますが、精液にアレルギー反応を示してしまう女性がいるそうです。
「続・セックスはなぜ“快楽”なのか!?」(別冊宝島編集部編)によると、その症状は「ちょうどウルシにかぶれたように、精液に触れた部分がかぶれてしまう。膣がヒリヒリ痛がゆかったり、しみたりする。性器の状態をよく見てみると、膣や外陰部が赤く腫れて、外陰部にはじんましんのようなブツブツができることもある。アレルギー症状が重い人は、この状態が三日くらい続く。さらに、なかには局部にとどまらず、全身に反応が出るケースもある。花粉症のようにクシャミが止まらなくなったり、目の周りの粘膜が腫れる、喉が腫れるという症状が現れる。アレルギーを起こすアレルゲンが精液というだけで、基本的にはほかのアレルギーと同じ」であるそうです。そして、その予防法としては、コンドームを使うことによってほぼ100%に近い割合でアレルギー反応を防ぐことができるといいます。
しかし実際には、精液そのものにアレルギー反応を起こすということはほとんどありません。
精液そのものに対するアレルギーとは別に、「抗精子抗体」といって不妊症の原因となるものがあります。
これは、原因不明の不妊症(男性の精液検査や女性の基礎体温、ホルモン検査、子宮卵管造影などの検査では異常がみつからないのに妊娠できない)の方の一部にみられ、免疫性不妊の原因にも分類されています。
抗体とは、本来体に入ってきた異物を撃退するためにつくられるもの。風邪のウイルスや化膿の原因となる病原菌を攻撃するのが本来の抗体の役目です。しかし、人の体は、時に自分に必要なものにまで抗体をつくってしまうことがあります。女性の体にとって精子は異物。通常はつくられることはないのですが、この抗精子抗体は精子に対する抗体です。抗精子抗体ができるのはごく一部の人であって、その理由もよく分かっていません。
射精された精子は子宮の入り口にある子宮頚管という細い管を通って子宮の中に入ります。さらに子宮の奥にある卵管の入り口から卵管の中に入って、卵子と出会って受精します。ところが、抗精子抗体は一種のアレルギー反応によって、精子を動かなくしてしまうのです。
また、男性自身が精子に対する抗体をつくることがあります。動きの遅い精子や子宮頸管の粘液の中に入っていけない精子をもった男性に、抗精子抗体がみつかることがあります。
このような理由からも、不妊の検査をするときには男女ともに検査を受けたほうがよいということがいえるでしょう。ただ、この検査は保健診療ではないため、費用はすべて自己負担となります。検査自体は、採血して血液中の抗体の有無を調べ、結果を待つだけという簡単なものです。
一般に、男性に抗精子抗体があった場合には顕微授精、女性に抗精子抗体のあった場合には体外受精の適応となることが多いようです。