いつでも気高き剣を胸に!
これまで5回にわたって、私の身近で起こった実例を出しながら、介護者が、よりイキイキ過ごせるための、私なりの知恵をご紹介してきた。 最終回の今回は、私の介護におけるモットーをまとめてみたい。
1.チャンスは自らつくるもの
残念ながら、現実には“タナボタ”はめったにない。待っていても何も変わらないのだ。今の生活を変えたいなら自分で行動するしかない。
2.口は「災い」のもとならず「福」のもと
不満は声に出すにかぎる。黙っていてもわかってくれる、というのは一種の甘え。おおいにしゃべって、おおいに記録して、ストレスを発散すると同時に、自分の思いを他人に伝えるよう努めるべし。
3.行動する勇気が感動を運ぶ
なんにせよ、一歩を踏み出すのは勇気がいる。でもそこを頑張ってみれば、思っているほど怖いことでも面倒なことでもないことがわかる。そして、その先には新しい世界が待っていることを実感できる。
4.信頼関係の基本は「誠心誠意」
しかし、主張を通すためには、自分自身が信用されることが大前提。信頼されるために守るべきは2つ。ウソをつかず、他人のせいにしないこと。これさえ心がけていればたいていのことはうまくいく。
5.親はすでに高齢者、明日はあなたも高齢者
介護という「貧乏くじ」を引いてしまったがために、さまざまな辛い思いを背負うことになった。だけど、そのくじは自分の老後にとっての「大当たり」に変えることもできる。老いるとはどういうことかまざまざと見てきた介護者は、自分の老後の設計により的確な準備をすることができるから。そう、最後に笑うのは介護者なのかもしれない。
北海道・函館の観光名所、トラピステヌ修道院をご存知だろうか。そこの門前には、「大天使ミカエラ」の像がある。愛と寛容と優しさの象徴である大天使。しかし、その像は、悪魔に今まさに剣をふりおろそうとしている姿を描いている。
闘うこととは無縁と思われる天使でさえ、剣を持っているのである。そのことを知ったとき、私はいいようのない感動を覚えた。
ならば生身の人間であるわれわれが闘わないでどうするのだ、と。平和や幸福は、闘って勝ちとっていくものなのだ。
イヤなことはイヤだと声に出して訴える剣。口で言ってもわからない者には、実力行使で出る剣……。介護者も等しく自らの剣を高くかかげていこうではありませんか。