高温多湿の夏 暑さが原因の夏バテを予防する
私たちの体には体温調節機能があります。暑くなると、皮膚の血管が拡張し、血液が体の表面に集まった水分が汗となります。その汗が蒸発するときに熱を奪うことで、体温が必要以上に上昇するのを防ぎ、常に一定に保っています。ところが、体の周りの湿度が高いと汗の蒸発が妨げられ、熱が体内にこもってしまいます。体内にこもった熱は細胞の働きを不活発にし、新陳代謝を悪くします。そして細胞の元気を取り戻すのに必要な良性のたんぱく質を消化する胃も弱り、食欲不振になったり疲れやすくなったりといった悪循環が起こり、さまざまな体調不良を覚えます。これが夏バテの正体です。
バテ方には個人差があり、一般的に体力の弱っている人に多いと思われがちですが、実は生活習慣の乱れがおおいに関わっているのです。そのため、暑くて食欲がないからといって、ビールや清涼飲料などの水分を取り過ぎたり、寝苦しくて睡眠不足になったりと、生活のリズムが乱れがちになると、夏バテはさらに加速します。
夏バテの防止・解消にはやはり、栄養のバランスのとれた食事をきちんと食べることがなによりです。食欲不振から3大栄養素である糖質、たんぱく質、脂質も不足しがち。さらに、汗をかくことが多い夏場は、ビタミンやミネラルの消耗が激しく、とくに気温が30度以上になるとビタミンB1の消費量が高まります。また、暑さによるストレス解消に必要な副腎皮質ホルモンを合成するのに不可欠なビタミンCも重要です。
こうした不足しがちの栄養素を必要量、まんべんなくとることが大切です。新鮮な野菜や果物、海藻類、肉・魚・牛乳などを、少しずつでも積極的にとるようにしましょう。
昔から夏バテ防止によいとされているうなぎは体温調節の働きをスムーズにするビタミンB1を多く含んでいます。また、にんにくに含まれる成分には体力増強作用があり、暑さに対する抵抗力を高め、疲れにくくするので効果的です。
そうはいっても、夏の暑いときには、こってりした料理を見ただけでも調子が悪くなりそう。なかなか食べる気にならないものです。そんなときは酢や香辛料を上手に料理に取り入れましょう。これらは消化液の分泌を高め、消化吸収を促す働きがあり、食欲を刺激してくれます。
また、肉や魚のかわりに豆腐を食べるなど工夫するとよいでしょう。
睡眠を十分とることも夏バテ防止には必要です。寝つきをよくするには生活のなかに軽い運動を取り入れて適度な疲労感を得たり、ぬるめのお湯にゆっくり浸かってリラックスしたり、寝る前に寝室をクーラーで冷やしておくなどが有効です。ただし、就寝中のクーラーのつけっ放しは禁物です。クーラーの設定温度は外気温との差を5度以内にします。また、除湿をするだけでも不快感はかなり和らぎますので、冷房は上手に利用しましょう。