電磁波をあびすぎると女の子しか生まれないって本当?
子どもの性別は、精子と卵子の持つ染色体の組み合わせで決まります。染色体にはXとYがあり、卵子にはX染色体しかありませんので、X染色体精子が受精すればXXで女の子が生まれ、Y染色体精子が受精すればXYで男の子が生まれます。つまり、生まれる子が男か女かを決定するのは、男性の性染色体にある、というわけです。
ではここで、X精子、Y精子についてそれぞれの特徴を考えてみましょう。
X精子はY精子に比べるとはるかに強く、膣の中でもどんどん卵子を目指して泳ぎます。また、Y精子の寿命が24時間程度であることに対し、X精子は2 〜3 日。Y精子がX精子に比べて数が多いのは、酸性度の高い液に満たされている膣の中で、仮に多くのY精子が死滅
しても生き残るチャンスを作るためといわれています。
つまり、Y精子は酸に弱く、寿命も短いということがいえるのです。男女の出生率に大きな差がないのは、Y精子の運動率がX精子よりも優れていて、卵子に辿り着くのが速いという点によります。
時々、プログラマーの子どもには女の子が多いなどといった風聞を耳にします。これまでみてきたように、確かに男性のほうのY染色体は、X染色体よりも弱いといわれています。しかし、電磁波でY染色体を持つ精子が傷害されるといった医学的な根拠は何もありません。また、電磁波の害についてはその他いろいろいわれていますが、いずれも医学的な因果関係が確立されていないといってもよいでしょう。
さらに、高圧電線ならともかく、パソコンディスプレイの電磁波は微弱なものであり、精子にまで影響を及ぼすとは考えられません。最近のパソコンでは液晶画面も登場していますが、この手のタイプではこれまでのものと比べ電磁波は飛躍的に低減されます。
また、男女産み分けに関して、食事や環境などいろいろいわれていますが、これも正確な統計的に根拠があるようなデータはないといえるでしょう。
電磁波とは、電気エネルギー(電界)と磁気エネルギー(磁界)が直角に交わり、立体的に放射される波動をいいます。パソコンに限らず、携帯電話など、あらゆる電化製品は多かれ少なかれ電磁波を放出しているものです。
こうした噂はおそらく“電磁波の人体への影響”の議論の過程で何かが曲解し生まれてきたのだと思われます。“電磁波の人体への影響”は世界各国の研究機関でも研究が行われていますが、まだはっきりした結論が出ていないというのが現状です。
この噂の科学的な根拠は明らかではありませんが、いずれにしても心理的な不安は健康に影響を及ぼすもの。あまりに心配で仕方がないというのであれば、パソコンショップなどで売られている電磁波防止グッズ(電磁波を防ぐエプロンなど)で安心を買ってみるのもひとつの手ではあるでしょう。