美容と健康にフルーツを! -フルーツダイエット-
美容と健康によく、みんなに愛されるフルーツ。でも、少しでもダイエットを科学的に試行錯誤したことがある人にとっては、果物の果糖は燃焼しやすく、脂肪になりやすいので、ほかの糖質よりもご法度……という感があるのですが、このフルーツダイエットは、「週末などを利用して、1日3食を1〜2日間、りんごやグレープフルーツ、パイナップルだけで過ごす」というもの。これを紹介した『健康ナビ2002Winter』の編集部では、リンゴやパイナップル、グレープフルーツなど、ダイエットに登場した果物を全部使って行うダイエット法が巷で流行っているので、といいます。どこで、誰が提唱したものかは不明。
しかし、その紹介記事によると、次のような検証をしています。
検証その一は、りんごやグレープフルーツがグリセミック・インデックスの低い食材であることが関係しているといいます。グリセミック・インデックス(GI値)とは、食品摂取2時間後の血糖値の上昇率や糖分の消化・吸収率を算出した値。GI値が低い食品をとることは、インスリン分泌を抑制し、脂肪の蓄積をしにくくするのだそうです。
検証その二では、これらのフルーツには不溶性食物繊維が豊富に含まれていることをあげています。不溶性食物繊維とは水に溶けない食物繊維のことで、これらが多い食品はよくかむ必要があるため、早食いによる過食を防いでくれます。さらに、消化に時間がかかるため、満腹感も持続。腸壁を刺激することにより腸の活動を活発にして、便秘を解消、結果的にダイエットにつながる、というわけです。
手軽でおいしく、今すぐにでも取り組んでみたくなるフルーツダイエットですが、でもフルーツだけを食べることは、体にとっての悪影響はないのでしょうか……。
それについて、大妻女子大学非常勤講師の長野美根先生にお話を伺ったところ、次のようなご返答をいただきました。
「3食すべてをフルーツにするのは、エネルギー源としての糖質(炭水化物)、体組織をつくるタンパク質のほか、ビタミンやミネラルも非常に不足するため、おすすめすることはできません」
ダイエットは現代人にとって大変興味深いもの。しかし、短期間で急激に体重を落とすとさまざまな問題が発生します。特に若い女性では、無月経の心配を忘れてはいけません。
また、人間の骨は10〜20代にかけてカルシウムを蓄積するもの。中年期以降に起こりやすい骨粗鬆症を予防するためにも「若い女性のダイエットはあまりおすすめできない」といいます。
では、健康的にダイエットに取り組むためには、一体どうしたらよいのでしょうか……。それについて、長野先生は次のように話してくださいました。
「3食すべてをフルーツにするのは危険です。無理をせずに、週末の1、2日をフルーツを中心として、ヨーグルト、低脂肪牛乳、お粥、サプリメントの大豆タンパク質やマルチビタミンをとるようにしてみるのがよいのではないでしょうか」
多少時間はかかるかもしれませんが、これでもダイエット効果は十分期待できるはず。無理をして体を壊してしまっては、元も子もありません。急激に体重を落とそうとせず、気長に少しずつ、上手にフルーツの力を利用することが、このダイエットのポイントといえそうです。