EUで新しい前立腺癌(がん)検査法が可能に
尿中のバイオマーカー(生物学的標識)PCA3 mRNAに着目した新しい前立腺癌(がん)の検査法が欧州連合(EU)で使用可能となった。この検査法は米国では未だ承認されていない。
研究段階では、前立腺癌の95%以上において、前立腺癌細胞でのPCA3の発現量が正常細胞の60〜100倍であることが示されている。また、予備データでは、従来用いられている血清PSA(前立腺特異抗原)検査よりも、このPCA3検査の方が前立腺癌への特異性が高いことが示されており、偽陽性が出にくいと考えられている。
英ロンドン大学付属病院の上級講師Mark Emberton博士によると、PSA値が高いために生検を受ける男性のうち、実際に前立腺癌であるのは25〜30%にすぎないという。つまり、PSA値の高い人の大部分が結果的には癌ではないことになる。
不必要な生検は患者の不安をあおり、医療システムの負担にもなる。血清PSA検査と併せて、この米Gen-Probe社(カリフォルニア州)製のPCA3検査法を利用することで、生検に適した患者をさらに細かく特定できるようになり、前立腺癌の検知と診断が向上するものと期待しているとEmberton氏は述べている。