専門的(泌尿器科的)に行なわれる検査
直腸診
医師が肛門から指を差し入れ、直腸壁から前立腺を触れて、状態をチェックする検査です。患者さんは、仰向け、横向きなど楽な体位をとり、検査しやすい体勢になります。医師は手袋をはめ、指にゼリーなどの潤滑剤をつけて診察します。肛門に指を入れられるというと抵抗感があるかもしれませんが、リラックスして受ければ、痛みは感じません。どうしても緊張してしまう場合には、口からゆっくり息をはくようにすると、無理な力が抜けて検査がスムーズに受けられます。
正常な前立腺は胡桃ほどの大きさで、弾力性があります。前立腺肥大症になると、大きさが大きくなり、硬さも正常より硬くなってきます。また、前立腺がんの場合は石のように硬く触れるのが特徴です。
尿流量測定(ウロフロメトリー)
センサーのついた装置(尿流量計)に排尿するだけで、自動的に排尿量やそれに要する時間などのデータが計測される検査です。測定したデータは数値とグラフで表示され、尿の勢いなどが一目でわかるしくみになっています。
残尿量測定
前立腺肥大症の症状の一つに、自分では完全に排尿し終えたつもりでも、尿が膀胱内に残る「残尿」があります。この膀胱内に残った残尿の量を測定するのが、この検査ですが、実際に尿道から細い管を入れて尿を抜いて量を測る方法と、超音波検査で膀胱内の残尿を画像で見る方法の二通りがあります。
膀胱尿道鏡検査
内視鏡を尿道内に挿入し、膀胱や尿道の内部の様子を観察する検査です。局所麻酔をした上で行ないます。ファイバースコープの改良が進み、直径が細く、柔らかくなって、患者さんへの負担は軽減されてきています。それでも多少の苦痛を伴うため、前立腺肥大症の検査には、あまり用いられず、手術前などどうしても必要な場合だけに限定して行なわれています。
前立腺生検
直腸から前立腺に針を刺し、少量の組織を採取して調べる検査で、前立腺がんの疑いが高い確率である場合に、確定診断のため行います。
検査台上で、両脚を広げた姿勢で行われます。針を刺されると聞くと、怖い感じがするかもしれませんが、実際は痛みはあまり感じない場合が多いようです。
この検査を受ける前には、直腸内を空っぽにしておく必要があるため、検査日の半日前から食事を控えます。便秘がちの人は、下剤などを使用する場合もあります。
X線検査(経静脈性尿路造影)
腕の静脈から造影剤を注射して、膀胱や尿道の状態をX線で撮影する検査です。血液中の造影剤が尿として排泄されるまでの様子がわかるので、造影剤を使わずに行なう単純X線撮影よりも、より詳しい情報が得られます。