排尿障害をおこすその他の病気について
膀胱炎
細菌に感染し、膀胱粘膜に炎症を起こす病気で、急性膀胱炎と慢性膀胱炎があります。前者は女性に多く、排尿痛、残尿感、頻尿などが主な症状です。男性に多いのは後者の慢性膀胱炎のほうで、前立腺炎、前立腺肥大症などなんらかの病気がもとにあって、それが原因となって膀胱内に炎症が起こります。症状としては、下腹部の不快感が長く続きます。
尿検査で原因菌をつきとめ、それに応じた抗菌薬を服用します。
尿道炎
おもにセックスで淋菌やクラミジアなどの病原微生物に感染し、尿道内に炎症を起こすものです。排尿痛や尿道から膿が出るなどの症状があります。
尿検査や尿道からの分泌物から原因菌をつきとめ、それに応じた抗菌薬を内服します。
尿路結石
腎臓、尿管、膀胱、尿道を含む尿路に石がたまる病気です。腎臓や尿管に石がたまると、激痛があり、石が膀胱の入り口付近にあると頻尿や残尿感があらわれます。
治療法は石の大きさや位置によって異なります。1センチ以下の小さい石ならば、水分を多くとって運動をすると、尿と一緒に出てしまう場合もあります。それ以外の場合で最も多く行なわれている方法は、「体外衝撃波砕石術」といって、専用の装置を使って体外から衝撃波をあてて石を壊す方法です。それでも壊れない場合は、尿管に金属の棒を入れて直接空気圧などで石を壊します。腎臓内に大きな石が詰まってしまったようなケースでは、腎臓に内視鏡を入れて石を砕きます。また、開腹手術をして摘出する場合もあります。
神経因性膀胱
交通事故やスポーツで脊髄損傷を起こし、大脳から膀胱までの間の神経系統にトラブルが生じて、膀胱のはたらきがスムーズにいかなくなる病気です。膀胱に尿がたまっても尿意を感じない、おしっこを我慢できないで失禁してしまう、頻尿になるなど、どの部分の神経がどの程度ダメージを受けているかによって、排尿障害の程度も違ってきます。
治療法としては、薬物療法、手術のほかに排尿訓練などが行なわれます。自然に排尿できない場合、1日に数回、自己導尿(自分で尿道に管を入れて尿を排出する)が必要になる場合もあります。
膀胱頸部硬化症
何らかの原因で、膀胱と尿道のつなぎ目の部分が硬くなって開きにくくなる病気です。膀胱にたまった尿の排泄がスムーズにいかなくなるので、排尿困難、残尿感などの症状があらわれます。
治療法は、前立腺肥大症に使われる薬と同じで、膀胱頚部の筋肉の緊張をやわらげるα1受容体遮断薬を使います(適応外)。物理的に尿道を広げる方法などもあります。
尿道狭窄
尿道が狭くなるもので、先天的なものと、後天的なものがあります。後天的なものとしては、尿道に傷ができたり、尿道炎の後遺症などで起こります。尿道が狭いため、尿の排泄がスムーズにいかず排尿に時間がかかります。症状が前立腺肥大症と似ているので間違えやすいのですが、尿路狭窄の場合は物理的に尿道を拡張する治療が必要になります。治療法が異なるので、検査の上できちんと鑑別診断を受けることが不可欠です。
神経性頻尿
これといった原因がないのに、頻尿を起こすものです。原因がまったくわからないものと、心因性のものがあります。心因性のものは、人間関係や仕事上の悩みなどで精神状態が不安定になったときに起こりやすく、心身症の一種と考えられます。突然、尿意を感じて我慢ができなるということが頻繁に起こりますが、寝ている間には尿意を感じないのが特徴です。
治療は心理療法や精神安定剤などが処方されます。