塩分味覚は出生時体重に影響を受ける
出生時の体重が塩味の好みを左右するとするMonell Chemical Senses Center(化学感覚センター、フィラデルフィア)の生物心理学者Leslie Stein氏らの研究結果が、医学誌「European Journal of Clinical Nutrition」オンライン版11月23日号に掲載された。
Stein氏は「こうした関係が早期に現れることから、子宮内で生じる発達過程での事象(出来事)が、塩味に関する個人の嗜好(しこう)に対して持続的な影響を及ぼしていることが示唆される」と述べている。
Stein氏らが健康な生後2カ月の乳児80例を対象に検討したところ、体重が軽い児の方が塩味を好む割合が高いことがわかった。「甘い食べ物にはこれに近い関係が認められなかったことから、このデータは出生時の体重と塩味の好みとの間に特異的かつ持続的な関係が認められることを示唆するものである」という。
この種の研究は、塩味の嗜好および摂取量に影響を及ぼす潜在的な諸因子の理解を深める一助となるものである。今回得られた結果は、高血圧の発症および持続因子と考えられている食塩の摂取量を抑えるためのプログラムを開発するうえで有用な情報となる。もっとも、ヒトは本質的に塩味を好むものであるが、塩味を確認し好ましいと判断する過程の機序については、科学的知見が未だ得られていないという。
同センター所長のGary Beauchamp氏は「ヒトが塩味を確認し、これを受け入れる過程に変化を及ぼす諸因子を正確に理解しなければ、食塩摂取量を抑える具体的な方法を獲得することはできないであろう」と述べている。