漢方薬の使い方 ウソホント
せっかく飲むなら、漢方薬の正しい飲み方を知っておこう。 間違った使い方をすると、元気になるどころか、かえって逆効果だ。
漢方薬は、食前に飲むのが基本である
酒がすきっ腹に飲むとすぐ効くように、漢方薬も胃が空っぽの「食前」(または食間)のほうがよく効く。胃腸を荒らす心配は極めて少ないが、薬の種類や体質などによっては、「胃が悪くなった」と感じる人もいるかもしれないので、そんな人は食後に飲むようにするといいだろう。
オブラートに包んで飲んでも、効き目は変わらない
たとえば咳の薬や胃の薬などは、苦い味そのものが口から食道を通っていくことで、効き目がよくなると考えられている。
どうしても耐えられない!という場合はしかたないが、なるべくならオブラートを使わず、たっぷりのお湯に溶かして飲むようにしよう。
漢方薬には副作用がない
西洋薬に比べて程度が軽いとはいえ、まったくないとはいえない。体質に合わない場合や、むやみに何種類も併用した場などは、副作用が出ることもある。
発疹が出たり、不眠、頭痛、吐き気、胃のむかむかなどの症状が出たら、服用を一時中止して医師に相談しよう。
また、漢方生薬の中にはトリカブトなど毒性の強いものもあるので、絶対に素人判断で勝手に手を出さないこと。
同じ病気なら、家族で同じ薬を飲んでも差しつかえない
どんな薬が合うかは、その人の体質や年齢、性、その時の症状などによって異なる。
たとえばカゼのとき。カゼ薬といえば「葛根湯」が有名だが、この薬には発汗作用があり、汗をかいていない人には向いているが、逆に汗をかいている人が使うと、余計に汗が出て疲れてしまうことになる。
また、これはカゼのひきはじめに使う薬で、いつまでも微熱や鼻水が続くというように、こじらせてしまった場合に飲みつづけても、役に立たないどころかかえって悪化させてしまうのだ。
葛根湯は、寝る前に飲まないほうがいい
カゼ薬として有名な葛根湯の中には「麻黄」という生薬が含まれている。
この麻黄には、中枢興奮作用をもつエフェドリが含まれているため、人によっては不眠をきたすおそれがある。ぐっすり眠るためには、なるべく寝る4時間前ぐらいに飲むとよい。
漢方薬は体にやさしいので、いくつ併用しても問題ない
医者が患者に合わせて成分を調整しながら煎薬してくれるような場合は別として、すでに漢方エキス剤となっているものを何種類か使う場合、同じ生薬がダブっていると、その生薬成分ばかり過剰にとってしまうことになる。
例えば「甘草(かんぞう)」という生薬を過剰にとりすぎると、顔や手足がむくむなどの副作用を起こしかねない。やむを得ずいくつか併用する場合は、それぞれに含まれている生薬をチェックし、ダブリがないかどうか注意すること。