油断禁物!2006年の花粉飛散予想
今年は飛ぶの?飛ばないの?
観測史上最大ともいわれた、2005年のスギ花粉の飛散量。耳鼻科やアレルギー科には、11月中旬頃から花粉によるアレルギー症状を訴える患者が来院していたとか。花粉の飛散量を左右するのは、前年の夏の日射量や日照時間といった気象条件だが、2005年7月の日照時間などから予測すると2006年の飛散量は2005年に比べて減少するという見方が今のところ優勢だ。また、過去十年間の平均花粉飛散量と比較すると60〜80%となる地域が多いとの予測もある。去年散々な目にあった人には、ひとまず朗報と言いたいところだが、過去数十年で花粉飛散量そのものが2〜3倍に増加しているため、平均値の60〜80%といっても、まったく油断できない。
スギ花粉を飛散させる雄花は、前年の11月頃には完成し、その後休眠している。関東から西では12月末から1月初めに休眠から覚めて、開花の準備に入るといわれ、この開花準備期間の気温が高ければ早めに開花し、花粉の飛散も早くなる。気象庁が発表した3ヵ月予報(1〜3月)によると、1月の気温は全国的に平年並か低めだが、2月は平年並か高くなる見込み。気になる人は、飛散本番前に早目の対策を徹底しておこう!
花粉シーズンの対策、今や政治課題に
いまや国民の16%が、花粉によるアレルギー症状をもつといわれる時代。国や自治体でも対策に本腰を入れ始めている。政府ではこれまでも、花粉飛散情報をリアルタイムに提供したり、アレルギーワクチン開発を共同研究したり、花粉の少ないスギ品種の開発・普及などに取り組んだりしているが、対策の決定打といえるものが登場するには、もう少し時間がかかりそう。
各地方自治体では、花粉飛散予測を発表するなど独自の対策に乗り出しているが、中でも東京都はかなり本気だ。東京西部にはスギの人口林があり、2005年には前年の42倍の花粉飛散量を観測した。都民の5人に1人が患者とのデータもあり、石原都知事自身も昨年、齢70歳を過ぎて初めて“デビュー”してしまったとか。来年度予算案に約27億円のスギ伐採費用を盛り込む、都内のすべてのスギ林を50年がかりで花粉の少ない種類の樹木に植え替える、などの対策を講じた。
さらに、東京、千葉、埼玉など首都圏8都県市首脳会議では、飛散してくるスギ花粉に加え、ディーゼル車の排気ガスなどによる大気汚染が、さらに患者を増やしている首都圏の傾向を踏まえ、上田清司埼玉県知事や石原慎太郎東京都知事らが「花粉症対策の推進を求める要望書」を小池百合子環境相に手渡した。要望書では、花粉症による社会的・経済的な影響が甚大であると指摘。国は重大な健康問題と強く認識し、対策を推進するよう求めている。
国内初!「花粉曝露室」で、花粉対策グッズの効果を検証
昨年7月、和歌山県吉備町に「花粉曝露(ばくろ)室」が誕生した。日本赤十字社和歌山医療センターの耳鼻咽喉科部長・榎本雅夫さんらが設置、運営するもので、床面は正八角形で広さ約30平方メートルあり、約25人の花粉アレルギーの患者が一度に入ることができる。スギ花粉を天井から散布し、患者の反応を窓越しに観察できるしくみで、健康食品や花粉対策グッズなどの効果検証を細かく調べるのが狙いだ。欧米にはこうした施設があるが、日本では初めて。試験に参加するにあたっては有償だそう。あなたのくしゃみや鼻水が、将来に役立つかも…!?