加齢と乳癌(がん)リスクの関係
加齢に伴う乳癌(がん)リスクの変化に、自然のプロセスが強く影響していることが、癌関連医学誌「Journal of the National Cancer Institute」11月15日号に掲載された、米メイヨー・クリニックの研究で明らかにされた。
小葉退縮とも呼ばれるこのプロセスは、年齢を重ねるとほとんどの女性で認められるが、これは、乳腺(小葉)が活動を停止すると引き起こされる。乳癌は小葉が起源だとされているが、同研究は、小葉が縮小し、減少すれば、癌リスクも低下することを示している。
約8,700人の女性を対象に実施した研究では、退縮が少ないか全くない良性乳房疾患患者の乳癌リスクが、乳腺組織が結合あるいは脂肪化した女性より2倍高いことが明らかになった。
また研究では、70歳以上の53%で小葉が完全に退縮していることも明らかになった。ホルモン補充療法(HRT)の経験のない女性は、ある女性に比較して完全退縮の確立が高かった。出産経験のない女性の27%、経験ある女性の18%で完全退縮となったが、授乳経験の有無と退縮とに関連性は認められなかった。
研究著者のLynn Hartmann博士は「今回の研究は、乳腺退縮の程度が乳癌リスクに直接関与していることを証明した最初の研究であり、女性の乳癌リスクを予測する重要な因子を提供したことになる」と述べている。