漢方のモノサシ
漢方の基本的な「モノサシ」には 八綱(はっこう)?nbsp;気血水(きけつすい)などあります。
(1)八綱とは
病気の部位や病気の性質、体力・抵抗力の有無を見るモノサシであります。「 表裏(ひょうり)」、「 虚実(きょじつ)」、「 寒熱(かんねつ)」、「 陰陽(いんよう)」の8つからなります。
■表裏・・・表裏というのは病気の位置をいいます。
表 ⇒ 身体の表面をいい、指でつまめる部位です。
裏 ⇒ 身体の内部すなわち内腔部をいいます。
■虚実・・・抵抗力の量的状態をみるもの。
虚 ⇒ 虚弱、空虚の意味で、病気に対しての抵抗力がなかったリ、身体の諸機能の働きが低下している状態をいいます。
実 ⇒ 充実、充満の意味で、病気に対して抵抗力があるが、体にとって不必要なものが充満している状態をいいます。
■寒熱・・・寒熱は病気の性質をみます。
寒 ⇒ 「さむい」「冷える」などの病気の寒冷傾向の状態をいいます。
熱 ⇒ 「あつい」「のぼせる」などの病気の熱性傾向の状態をいいます。
■陰陽・・・陰陽はすべてを統括する概念。
陰 ⇒ ものごとの静的な側面を現し、水に代表される陰分や冷えの状態を指します。
陽 ⇒ ものごとの動的な側面を現し、火に代表されるエネルギーや熱の状態を指します。
(2)気、血、水とは
漢方では生命活動する上で、身体にとって必要な生理的な物質として気・血・水の三つを考えます。健康な状態とはこの気・血・水の働きがうまく機能しているときであります。逆に気・血・水のアンバランスは病的な状態を現します。
漢方の素朴的な病因論でありますが、西洋医学でいう自律神経系、循環器系、体液系、内分泌系などの要因にあたるものと考えられます。漢方の処方は、これら気・血・水の調和をはかるように作られています。
気 ⇒ 生命活動する上で必要な身体の エネルギーのもとになるものをいい、精神または精神神経系の働きや、血や水を動かす力があります。
気のバランスが悪い時には、気が上の方にのぼせて、イライラしたりするもの、漢方では 気の上衝(じょうしょう)といいます。また、気が停滞しておなかが張って苦しくなったりもします。漢方では 気滞(きたい)といいます。どちらも血や水の流れに影響を与えます。
血 ⇒ 生命活動する上で必要な 栄養物質であり、全身の組織や器官を滋養します。
血のバランスが悪い時には、血行障害などによる症状を起こしやすくなります。俗に 血(おけつ)、古血(ふるち)といわれるものです。
血のあるものは、一般に顔色は赤黒いか青黒く、皮膚や粘膜に紫斑点や青筋などが多く見られます。
水 ⇒ 生命活動する上で必要な 体液成分で、身体を潤し、円滑にする働きであります。
水のバランスが悪い時には、水分の代謝が円滑に行われていない状態で、漢方で・nbsp;水毒(すいどく)といいます。胃部の振水音、下痢または軟便、嘔吐、尿量減少あるいは多尿、浮腫(むくみ)、動悸(どうき)、めまい、耳鳴、頭痛などの症状は、水毒によることが多いものです。