漢方医学について 〜一物全体〜
「身土不仁」の項目で簡単に「大宇宙」と「小宇宙」の説明をしました。
更に東洋医学では、宇宙は陰と陽で構成されていると考えています。例えば、男と女、夏と冬、昼と夜。
また、人間の身体も小宇宙であり、陰と陽で構成せれていると考えています。
簡単な例を挙げると、人間は体温調節中枢で体温を維持しています。それと同時に発熱のため活性物質パイレキシンや、反対にプロスタグランディンなどの解熱物質も併せ持っています。
また、排尿に関しては小便を出すための副腎利尿ホルモンと、小便を出さなくする脳下垂体抗利尿ホルモンを併せ持っています。
小便が出過ぎる事が良い事ではなく、小便が出ない事が良い事でもありません。 両方の力のバランスが取れている事が良い事なのです。
陰陽とは相反する力のバランスを言っています。
病はこのバランスが崩れた時に起こると東洋医学では考えています。
漢方の治療は、崩れた陰陽のバランスを元に戻し、結果として病を治していきます。
小宇宙・生命体は陰陽の両方の気を持っています。
食材として植物を見ると、地上系である葉・野菜は身体を冷やし、地下系である根物は身体を温める傾向にあります。
身体は温まり過ぎてもいけません。冷え過ぎてもいけません。
陰陽のバランスを取る為、身体を温める根物から、身体を冷やす野菜までバランス良く食べます。
葉から根まで。頭から尻尾まで。これが「一物全体」です。
小魚等は頭まで食べます。
野菜を食べたら、根菜類も食べます。
一物全体とは身体の「陰陽の気」を整える食養上の知恵です。
身体に熱となる肉類を食べたら、身体を冷やす食物を併せ食べます。
身体を冷やす食物を食べたら、身体を温める食物を併せ食べます。
冬は身体を温める食物を食べます。
夏は発散する食物を食べます。
冷え性の人は、身体を温める食物を中心にします。
のぼせ症の人は、身体を冷やす食物を中心に食べます。