心臓の全組織のもととなる胚性幹細胞を発見
「マスター」胚性心臓幹細胞と呼ばれる細胞が、心臓形成において重要な役割を果たしていることが、医学誌「Cell」11月22日号オンライン版掲載の米ハーバード大学(ボストン)の研究で明らかされた。
ヒトの心臓はいくつかの細胞で形成されているが、これらのもととなる「マスター細胞」についてはその存在が不明だった。ハーバード幹細胞研究所のKenneth R. Chien博士らのチームは、マウスの実験系で、3種類ある心臓細胞は発生源が共通しており、心筋細胞、平滑筋細胞、「ペースメーカー」心臓細胞が作り出されていることを明らかにした。
同博士は「分化する細胞の種類を決める単一の細胞を発見。マスター細胞と呼ばれるこの細胞は複製可能で、3種類の異なる細胞に展開する」と述べ、将来的には、損傷を受けた心臓細胞の再生にマスター細胞が利用できる可能性を示唆しているとしている。