漢方医学について 〜六陳八新〜
伝統漢方では生薬ごとに六陳古い生薬の方が良い、八新新しい生薬の方が良いという「決まり」が古来より有ります。
精油その他の成分で身体に害がある生薬は十分寝かし、精油の揮発、空気酸化等で毒性の無い状態にしてから用います。
また揮発性成分が薬効として必要な生薬は出来るだけ新しい物を使用します。年を越した物は使用しません。
現在、日本ではこれら先人の経験による教えを無視し漢方薬が作られています。残念な事です。
六陳八新は漢方の修治(シュチ、毒消し、前処理加工)の一つです。この他、修治には様々な方法が有ります。患者さんの服用する漢方薬は煎じ薬であっても様々な修治が施して有ります。
六陳
呉茱萸(ゴシュユ)、橘皮(キッピ)、狼毒(ロウドク)、半夏(ハンゲ)、枳実(キジツ)、麻黄(マオウ)の6種類です。
その他の生薬では、木賊(モクゾク)、大黄(ダイオウ)、芫花(ゲンカ)、荊芥(ケイガイ)も古い陳の物を使用します。
これらの生薬は単に古ければ古いほど良いと言うのでも有りません。半夏(ハンゲ)、木賊(モクゾク)、橘皮(キッピ)等は生で青臭い臭いがする間は使用しません。枯れた時点で薬用として用います。
呉茱萸(ゴシュユ)、枳実(キジツ)等は中程度の古い物が良いです。非常に古い物は返って劣品と成ります。
八新
蘇葉(ソヨウ)、薄荷(ハッカ)、菊花(キクカ)、赤小豆(セキショウズ)、桃花(トウカ)、澤蘭(タクラン)、槐花(カイカ)、款冬花(カンドウカ)の8種類です。
八新は新しければ新しいほど良いです。