尿中のカリウム濃度で食習慣が判明
尿中のカリウム濃度を調べる簡単な検査で、患者の食習慣を評価できることを示したカナダの研究が、米サンディエゴで開催された米国腎臓病学会(ASN)年次集会で発表された。
食生活は、心疾患、脳卒中、癌(がん)をはじめとするあらゆる健康問題の重要な鍵だが、これまで家庭医が患者の食生活を容易かつ安価に評価できる客観的方法がなかった。現状では、質問票で尋ねる方法や、一定期間の食事内容を記録させる方法が取られているが、このような方法では時間がかかる上に、正確な情報が得られないことも多い。
現行の食事ガイドラインで高カリウム食が奨励されていることから、今回の研究では、健康的な食習慣の指標として尿中カリウムに着目した。Prosserman保健研究センター(トロント)のAndrew Mente博士らのグループは、18〜50歳の被験者220人から尿を採取。被験者はさらに、過去数年間の食習慣に関する情報を提出し、血圧、脈拍、身長体重の測定を受けた。その結果、尿中カリウム濃度が高い人は、食生活が健康的で、体重、血圧、脈拍が低いという関係がみられた。
Mente博士によると、この知見は、尿中カリウム量が食事の質を客観的に評価する有効な指標であることを初めて示したもの。医師が食生活への介入の効果を経時的に監視し、食事に問題のある患者に効果的なカウンセリングを提供するのに、この指標が役立つはずだとMente氏は述べている。