赤身の肉が乳癌(がん)リスクを上昇させる
ステーキやハンバーガーをはじめ赤身の肉が、若年女性のエストロゲン受容体陽性乳癌(がん)リスクを上昇させることが米国の研究で明らかになった。「エストロゲン受容体陽性(+)」乳癌は、体内を循環するエストロゲンやプロゲステロンが高レベルな場合に誘発される癌で、乳癌の大部分はこの部類に入る。
米医学誌「Archives of Internal Medicine」11月13日号掲載の研究では、米ハーバード大学医学部医学助教授のEunyoung Cho氏らは、現在米国で進行中の看護師を対象とした「Nurses Health Study II」の被験者である26〜46歳の女性看護師9万659人のデータを集約。閉経後女性と癌罹患者は調査対象から除外した。追跡調査期間は1991〜2003年で、期間中に乳癌を発症した女性は1,021人、そのうち512人がホルモン受容体陽性乳癌だった。
検討の結果、赤身肉を1日1.5食分摂取していた女性は、1週間に3食分未満の女性に比較してホルモン受容体陽性乳癌の罹患率が約2倍高かった。このリスク上昇には、調理・加工済み赤身肉に見られる発癌性物質、牛の成長を刺激するためのホルモン療法、さらに赤身肉に含まれるある種の鉄分の関与が考えられた。
Cho氏は「大腸癌などの慢性疾患予防のために、赤身肉の少ない食事が奨励されているが、今回の知見は、女性に対し赤身肉の摂取量を減らすべく別の理由を提供することになった」と述べている。
米国癌協会(ACS)分析疫学担当責任者のEugenia Calle氏は「閉経前の女性で、乳癌のタイプ別に赤身肉摂取の関係を検討した初めての研究だが、両者の関連性が正当と証明されるには、別の研究で再現される必要がある」と述べている。ただし、赤身肉と大腸癌など他の癌との関連性は認められており、加工肉や赤身肉の摂取を制限し、果物や野菜、全粒粉の摂取を勧めるACSの食事勧告には賛同するとしている。