男性で片頭痛が心疾患リスクに関連
片頭痛のある男性では、心臓発作のリスクがより高いことが、医療従事者を対象とした米国の研究で明らかになった。先ごろシカゴで開かれた米国心臓協会(AHA)年次集会で、米ブリガム&ウィメンズ病院(BWH、ボストン)医学助教授のTobias Kurth博士らが報告したもので、同氏は「高血圧や高コレステロールと同様に、片頭痛が心血管疾患の主要な危険因子(リスクファクター)となることを示すものだが、関連性の機序が解明されるまでは、片頭痛患者は従来の危険因子に注意したほうがよい」としている。
Kurth氏らは、これまでにアウラ(前兆症状)を伴う片頭痛をもつ女性と心疾患との関連性を報告しているが、今回は、医療従事者を対象とした「Physicians’ Health Study」参加者で、調査開始時に健康だった男性2万人の追跡調査を実施。その結果、15.7年間に被験者の7.2%に片頭痛を認めた。
片頭痛のある男性は、ない男性に比べて心臓発作のリスクが42%高く、女性での研究結果とほぼ同様であった。全体的には、片頭痛をもつ男性では心臓発作などの重度の心血管イベントリスクが24%増大していた。また、虚血性脳卒中リスクが12%、心血管疾患による死亡リスクは7%増大していたが、いずれも統計的に有意差は認められず、発生の可能性が高いことを示すにとどまった。
片頭痛は若年男性でより多く発症する傾向が見られるが、被験者の平均年齢は56歳であり、Kurth氏は今回の知見が若年男性には当てはまるとは限らないという。また、現時点で片頭痛と高血圧やコレステロール、炎症マーカーなどとの関連性は不明としている。
AHAのスポークスマンで、メイヨークリニック医科大学(フロリダ州)医学教授のGerald Fletcher氏は「片頭痛は心血管疾患の危険因子というよりも、リスクメーカーの一つであり、医師や一般に注意を喚起する必要がある」と述べている。