腕の運動が末梢性動脈疾患患者の足を動かす
有酸素(エアロビック)の腕運動により、末梢性動脈疾患(PAD)患者の脚の痛みが軽減し、より楽に歩けるようになることが米国の研究で明らかになった。PDAでは、四肢(通常は脚)の動脈が、プラークの形成、血管狭窄などで、筋肉への血流が制限され、わずかな距離の歩行でも筋肉が痙攣(けいれん)して痛みが発生する。痛みは通常、短時間の休息で治まる。
研究は、平均67歳のPAD患者35人を対象に行われ、被験者は無作為に以下の4群に割り付けられた:運動なし、ウォーキングマシン運動、アームエルゴメーター(テーブルに置く自転車のペダルのような装置で、腕で操作する)運動、ウォーキングマシンとアームエルゴメーターの両運動をする。
運動群の3グループの患者は1回1時間の運動を週3回、12週間行った。運動期間後、これら3群の患者は、歩行できる総距離と痛みを感じずに歩ける距離で改善が認められた。研究結果は、先ごろシカゴで開催された米国心臓協会(AHA)の年次集会で発表された。
研究著者で米ミネソタ大学看護学部助教授のDiane Treat-Jacobson氏は、「今回の研究結果は、痛みや他の障害が理由でウォーキングマシン運動が不可能な患者には、上半身の有酸素運動が代替法となることを初めて証明したもの」と述べるとともに、今後、結果の確証を目的とした追試で、同手法が有効である理由と機序をより理解し、患者にとって最適なトレーニングプログラムを特定していきたいとしている。