根底に基礎疾患-米国での勃起不全患者は1,800万人以上
米国では1,800万人以上が勃起不全(ED)に罹患しており、なかでも心疾患や糖尿病、運動不足の男性の罹患状況が深刻であることが判明した。米ジョンズ・ホプキンス大学(ボルチモア)Bloomberg公衆衛生学科ポストドク研究員のElizabeth Selvin博士らによるこの知見は、米医学誌「American Journal of Medicine」2月1日号に掲載された。
今回の研究では、「米国民健康栄養関調査(NHNES)」に参加した2,100人強の男性のデータを収集。勃起およびその維持が「時々可能」または「不可能」と申告した男性をED、「ほぼ常に可能」または「たいてい可能」とした男性をEDではないと分類した。この結果、心血管疾患の危険因子(リスクファクター)や糖尿病のある男性ではEDの有病率が高いことがわかったという。有病率は米国男性全体で18.4%、70歳以上では70%、20〜40歳では5%と、年齢も強い危険因子である。
EDは、糖尿病との関連が特に強く認められ、糖尿病の男性の50%以上が罹患。さらにEDの男性のほぼ90%が、糖尿病、高血圧、高コレステロール、喫煙など心疾患の危険因子を少なくとも1つ有していた。また、運動をしない男性や、1日3時間以上テレビを見るなど座りがちな生活の男性は、運動をよくする男性に比べEDになりやすかった。
食事や生活習慣の改善が必要な男性にとって、心血管疾患や糖尿病のリスクを下げるだけでなく、性生活の向上につながるというのは、生活改善への強い動機付けになるのではないかとSelvin氏は述べている。
EDが広く蔓延する問題であることは他の専門家も認めており、EDのスクリーニングの必要性を訴えている。EDになる可能性は、根底にある心疾患や糖尿病を治療すれば減らせるものであり、EDを正常な加齢現象と考えないようにとのこと。