眠りの質を高めるコツ&グッズ(1)
〜眠りを「質」で考えてみよう〜
◆あなたは短眠派?それとも長眠派?
「昨日は5時間しか眠らなかったから睡眠不足だ」と嘆く人や、逆に「8時間しっかり寝ているのに眠い。病気だろうか!?」と心配する人がいる。一般に、8時間睡眠が健康に良いというのが常識で、その過不足で判断しているようだ。あなたも睡眠の過不足を、8時間を基準に考えてはいないだろうか。
だが、世の中には驚くなかれ、1日1時間弱の睡眠で十分な人や、なかには2週間の間にわずか101分しか眠らなくて平気な人もいたとか。
忙しい現代の社会人にとっては何とも羨ましい限りだが、こうした世界的にも稀な“健康な不眠者”または“無眠者”と呼ばれる人は除くとしても、睡眠には個人差がある。
遠くはナポレオンのように短時間の睡眠で健康な短眠型のタイプと、アインシュタインのように9時間以上は眠らないとダメな長眠型のふたつのタイプだ。
あなたはどちらのタイプだろう?
まずは、自分の睡眠のタイプを知ることから、眠りを見直してみよう。
ところで、だからといって眠れるだけ眠るのがいいわけでもない。好きなだけ眠った後に作業能力や注意力などをテストする実験では、むしろ能力が落ちたという報告がある。また、米国がん協会が発表した論文でも、睡眠6〜7時間の人の死亡率が最も低いとされている。要は、バランス。自分が気持ちよく目覚め、やる気が起きる睡眠時間を知っておくことが大切なのだ。
◆最初の90分が眠りの質を左右する!?
人は眠るとき、徐々に眠りに入っていくのではなく、カタン!と眠りに落ちるといわれる。
そしてカタン!と落ちた先は、いわゆるノンレム睡眠の第一段階。さらに、第二段階までは周囲の物音が聞こえている。試しに、この段階で目を覚まさせると、「体が落ちていく感じ」「宙に浮いているような幸せな気分」…といった夢か現実かわからない状態で、「眠っていなかった」と主張する人も多いという。だが、しかし。実はこれも夢の中。眠りの第一歩だったのだ。
また、このノンレム睡眠の第一段階に入るとき=“寝つき”が悪いと、翌朝に「よく眠れなかった」「気持ちよく目覚められなかった」と訴える人が多いという。入眠時間でみると、寝つきが良く熟睡する人は10分以下、寝つきが悪く熟睡感の乏しい人は約15分。たった5分の差だが、寝つきの悪い人にとっては30分にも1時間にも感じられ、熟睡感がなくなってしまうのだ。
さらに、こうして深い眠りへと入り込んだノンレム睡眠は約90分続き、その後に10〜40分のレム睡眠が現れる。よく「体を修復するノンレム睡眠、脳を活性化させるレム睡眠」などと言われるように、役割の違う2種類の睡眠が4〜5回繰り返されて朝を迎えるのだが、特に注目に値するのが、入眠したてのノンレム睡眠。このとき、成長ホルモンが1日のうちで最も多く分泌されることから、心身の成長・修復、疲れの回復などが活発に行われていると考えられているのだ。
つまり、寝つきを良くして最初のノンレム睡眠をしっかり確保することが、眠り全体の質を大きく左右する、と言っても過言ではないだろう。