夫婦で考えたい、男性更年期
女性だけだと思っていませんか? 疲れやすい、寝付けないといった症状には「男性更年期」の可能性あり。悩みを一人で抱え込まず、夫婦で話し合ってみましょう。
■男性の更年期障害は、女性よりも「長くゆるやか」に続く
だるい、いつも疲れた感じがする、寝付きが悪い、何をするにも集中力が続かない……。こんな不調が思い当たったら、「男性更年期障害」かもしれません。「更年期」というと閉経前後の女性特有の症状と考えられがちですが、最近は男性の更年期が注目されるようになってきました。男性で中高年以降に増えるうつ病やED(勃起障害:ぼっきしょうがい)も、更年期と深くかかわりがあります。あなたにはこんな症状、ありませんか?
■体の不調……頭痛、めまい、だるさ、疲労感、動悸(どうき)、息切れ、手足のしびれ、冷え
■心の不調……やる気が出ない、記憶力・集中力の低下、不安感、イライラ、不眠
■性機能障害……性欲減退、ED(勃起障害)、頻尿、残尿感
男性更年期は、男性ホルモン(テストステロン)の減少が引き金となって起こります。男性ホルモンは、性機能だけでなく、脳や筋肉の働きとも深くかかわっているため、男性ホルモンが減少すると全身の不調につながります。女性の場合、閉経を境に女性ホルモンが急激に減少するため、ほてりやのぼせなどの症状も自覚しやすいもの。ところが、男性ホルモンの変化はゆるやかで個人差が大きく、50〜70代にかけて長期間続くこともあります。「ホルモンの減少」という身体的要因に、ストレスなどの心理的要因が加わり、疲労感や不眠など、心の変調が強く出る人が多いにもかかわらず、周囲の理解を得られず一人で悩む人も多いようです。
上記のような不調は、その背景に生活習慣病が隠れていることもあるので、不安があったらまずは病院へ行き、健康診断のつもりで受診することが大切です。心の症状が強ければ、心療内科や神経精神科、泌尿器の症状が強ければ、泌尿器科に相談してみましょう。
■避けては通れない「更年期」を前向きに受け止めよう
●心や体のストレスを解放しよう
神経質できまじめな人、気分転換できるような趣味がない人は、更年期障害が強く出やすい傾向にあるそうです。これまでエネルギッシュに生きてきた人も、そろそろ心や体の緊張をゆるめていい時期かもしれません。義理のつきあいや自分に無理を強いることはできるだけ避け、自分のためだけの時間、自分を解放できる時間を作りたいものです。
●生活改善で、ホルモン減少にブレーキをかける
食事、運動、睡眠など、生活の基本になるものの「質」を見直しましょう。栄養バランスを良く、腹八分目に食べるのはもちろん、アルコールの取り過ぎにも要注意。アルコールを過剰摂取すると、睡眠の質の低下や肥満につながり、男性ホルモンの低下に拍車をかけることになります。日中は体を動かし、睡眠時間をしっかり確保することで、男性ホルモンの急激な減少を抑えられます。
パートナーとの絆(きずな)を深める
更年期に関しては、おそらく女性のほうが先輩格。妻によき相談相手になってもらい、夫婦一緒に受診するなど、うまくリードしてもらうのもいい考えです。夫婦でウオーキングをはじめたり、映画を鑑賞するなど、この機会に共通の世界を広げてみては? 更年期をきっかけに、互いの心と体の変化に気を配り合い、豊かな老後へとつなげていきたいですね。