低炭水化物食は女性の心臓によい
低炭水化物食で女性の心疾患リスクの上昇が抑えられることが、米国での女性を対象とした大規模研究で明らかになった。ただし、これは動物性脂肪の摂取を勧める低炭水化物食として知られる「アトキンソン・ダイエット」のことではない。
研究者らは、米国で20年間にわたり実施された「看護師健康調査(Nurses Health study)」の参加女性8万2,802人を対象に、特に冠動脈疾患罹患率を追跡調査した被験者は、食習慣に関する質問項目に答え、炭水化物、脂肪、蛋白(たんぱく)質からのエネルギー摂取量が数値化された。
医学誌「England Journal of Medicine」11月9日号掲載の研究結果によると、低炭水化物食と高炭水化物食のどちらもほぼ同等の心疾患罹患率を示したが、蛋白質や脂肪を野菜から摂取した人のリスクは、肉類から摂取した人よりも30%低かった。1970年代に紹介されて有名になったアトキンソン・ダイエットでは、動物性脂肪を無制限に摂取できる。
米ハーバード大学公衆衛生大学院時代に研究を主導したThomas L. Halton氏は「低脂肪食も低炭水化物食も理想的ではないというのが結論だ。どちらも一長一短があるが、脂肪や蛋白質を野菜から摂取すれば、短所を排除し、長所だけを利用できる」という。現在Simmons College非常勤講師の同氏は、目指すゴールは、「糖負荷を、低糖分のフルーツや野菜、全粒粉に置き換えることによって軽減することにある」いう。
栄養コンサルタントで米国栄養士会(ADA)スポークスウーマンのSusan Moores氏は、この研究で低炭水化物食を摂取したと報告した女性は、実は「低量」ではなく「中等量」の炭水化物食だったと指摘し、「被験者が実際に摂取した食事はあまりにも多彩で、問題点も残る。同研究結果を元に具体的なアドバイスをするのは困難だ」という。しかし、植物由来の脂肪や蛋白質の摂取による効果が報告されていることには納得できるとも述べている。