温風と吸引でアタマジラミを駆除
掃除機とヘアドライヤーを組み合わせたような風変わりな器具が、アタマジラミに悩まされる小児をその煩わしさから解放させることが、米国の研究で明らかになった。開発者によると、この器具「LouseBuster」は、殺虫剤が直面するシラミの抵抗性をもたらす心配がないという。研究結果は、小児医学誌「Pediatrics」11月号に掲載されている。
研究著者で米ユタ大学生物学教授のDale Clayton氏によると、米国人小児の4人に1人はアタマジラミを保有しているという。駆除法の1つは、シラミ専用の櫛(くし)で髪をすくことだが、時間を要し親の負担が大きい。さまざまな抗シラミシャンプーもあるが、殺虫物質を子供に使用したがらない親もいる。また、米疾病対策予防センター(CDC)によると、以前は効果があった化学物質に対して免疫性を持つシラミも出てきた。
Clayton氏らは、アタマジラミをもつ地元の子供169人を対象にさまざまなヘアドライヤーを試した。全てのドライヤーがシラミの卵を89%以上駆除したが、唯一「LouseBuster」のみが卵(98%)と成虫(80%)の双方を駆除した。生き残った成虫も、温風のストレスや殺菌作用により繁殖不能なようだった。同氏は、LouseBusterで30分処置すれば、1週間でシラミがいなくなるとしている。
LouseBusterの送風温度は一般的なドライヤーに比べかなり高温で、また他のドライヤーと異なり、毛根を露出するための特殊部品が取り付けられている。Clayton氏は、成虫や卵を熱ではなく乾燥させることで効果が得られるという。価格は未定だが、百ドル(万円)単位を想定。1-2年内の製品化を目指しており、駆除に要する時間も15分間に短縮化できるとしている。
しかし、米オハイオ医科大学皮膚科医のCraig Burkhart博士は、同器具の有用性について、「シラミ駆除に30分かかることは問題であり、器具自体も高価で扱いづらい」と述べ、最善策として殺虫剤の使用を挙げている。