乳児期の鉄欠乏が10代での認知力に影響
乳児期に鉄分が欠乏していた10代の子供は、同年代の他の子供と比較して、思考力、学習力、記憶力を測定した認知テストの点数が低く、特に貧困層でその差が顕著なことが米国の研究で明らかにされた。研究結果は、米医学誌「Archives of Pediatrics and Adolescent Medicine」11月号に掲載されている。
米ミシガン大学の研究者らは、コスタリカ市街に住む子供185人を対象に調査を実施。被験者は、研究が開始された1983〜85年に、平均生後17カ月で初回の鉄欠乏検査を受けた。認知テストを受けたのは、研究開始時、5歳、11〜14歳、15〜18歳、19歳時点。被験者のうち87人が中流層、98人が貧困層出身で、慢性鉄欠乏の62%が貧困層の子供だった。
中流層出身者の認知テストの初期スコアは、鉄欠乏の子供で101.2点、充足している子供では109.3点だった。この差は、19歳になるまで8〜9点レベルで維持された。貧困層の子供の初期スコアは、鉄欠乏の子供で93.1点、充足している子供では102.8点の通常レベルだった。しかし、この差は19歳までに25点まで広がり、70.4点対95.3点となった。
研究者は、こうした差は学業や成人後の職業選択に多大な影響を与えることから、乳児期での予防や治療のために、鉄欠乏リスクのある子供の特定の必要性を指摘している。