診断に迷った医師もGoogleの恩恵
インターネット検索エンジンで最も人気があるGoogle(グーグル)。英医師会誌「British Medical Journal」11月11日号掲載の研究によると、診断が困難なケースで医師がGoogle検索に助けられることもある。
医師は、診断のために200万の事柄を知っておく必要があると言われているが、医学知識や情報の拡大に伴い、その数では不十分となっている。別の医学誌によると、ある医師は、Googleのお陰で、まれな自己免疫疾患であるIPEX(免疫不全、多発性内分泌障害、腸症、X連関遺伝)症候群を診断し、同僚の医師を驚かせたという。
今回の研究では、オーストラリア、Princess Alexandra Hospital呼吸器・睡眠専門医のHangwi Tang博士らが、2005年の「New England Journal of Medicine」から診断困難な26例を抽出し、事例ごとに3〜5のキーワードでGoogle検索を行った。Googleは15例(58%)で正確な診断を探し当てた。猫引っかき病、クッシング症候群、クロイツフェルト・ヤコブ病や結核などは正しく診断し、「hot tub lung」(バクテリア吸引による感染症)や脳膿瘍などは誤診した。
Tang氏は「ネット検索の良い面は、同様の単語が揃った、例えば症状に関する文書などを発見する能力に優れていることで、症状や兆候がセットで存在する場合に非常に役立つ」という。しかし、米マイアミ大学(フロリダ州)ミラー医学部教授のRobert Schwarts博士は「弱点は入手した情報を解釈する能力だ。追加的検査や試験の必要な情報もある」という。Tang氏は「患者の自己診断もマイナスになるケースもある。常識を多く備えた優秀な医師に検索エンジンがとって替わることないだろう」と述べている。