カレー成分がアルツハイマー病予防に効果
カレーやターメリックの成分であるクルクミンが、アルツハイマー病患者の脳に蓄積して老人斑(プラーク)を形成し、損傷を与える蛋白(たんぱく)質アミロイドベータを排除するマクロファージ(大食細胞)の免疫機能を活性化させる役割を果たすことが、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の予備的研究で明らかにされた。
米医学誌「Journal of Alzheimer’s Disease」10月9日号掲載の研究では、アルツハイマー病患者6人と健康な被験者3人の血液サンプルからマクロファージを抽出し、クルクミン溶液で24時間処置した後、アミロイドベータを添加した。その結果、アルツハイマー病患者3人のマクロファージがプラーク形成蛋白質を貪食(どんしょく)するのが観察された。
研究著者のUCLA David Geffen医学部のMilan Fiala博士らは、インドの高齢者ではアルツハイマー病が1%しかみられないとする研究結果をもとに、過去5年にわたりアルツハイマー病患者約100人を対象に免疫機能を検討。アルツハイマー病における免疫機能の果たす重要な役割を明らかにしている。同博士は、糖尿病患者にインスリンが必要なように、アルツハイマー病患者にマクロファージが必要と考えられるという。そして、「免疫機能を改善できれば、体の自然な排除能力を助ける可能性がある」と述べている。
米アルツハイマー病協会のSam Gandy博士は「治療の観点からすると、クルクミンによるアミロイドベータ排除の可能性は非常に興味深い。今回の研究は、すでに知られているクルクミンの抗炎症・抗酸化特性以外にも、プラークを排除する作用があることを示した」と評価している。
クルクミンの健康効果はアルツハイマー病だけに留まらないようだ。米ジョンズホプキンス大学(ボルチモア)で先ごろ実施された6カ月間の研究では、クルクミンの日常摂取により、結腸癌(がん)の前駆体である結腸ポリープのリスクが60%近く低減することが示された。専門家は、癌やアルツハイマー病を避けるためにカレー摂取を推奨するのは時期尚早だが、スパイス棚にカレー粉を加えるのは健康、さらに味付けの上でもよいだろうと述べている。