医師と患者のチームワークでうつ病を打ち負かす
医師と協力して多様な治療法を試み、自分に最適な方法を見出すことで大うつ病患者の3分の2以上で症状がなくなることが、米国の研究で明らかにされた。治療法には、抗うつ薬治療や認知療法などが含まれる。同研究の最終結果は、米医学誌「American Journal of Psychiatry」11月号に掲載されている。
米テキサス大学サウスウエスタン医療センター(ダラス)精神医学教授のA. John Rush博士は「この治療法の良い点は4つのステップ(段階)まで踏みとどまれば、3分の2の人が治療困難なうつ病に著しい効果を得られること。しかし、寛解(症状の軽減緩和)や有意義な改善が見られるまでに多くの段階を踏むほど、うつ病エピソード(症状発現)や再発の傾向が高まる」と述べている。
STAR*D(Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression: うつ病を軽減させる代替的連続治療法)として知られる今回の研究は、米国内41箇所のプライマリーケア医や精神科クリニックに通う患者約3,700人を対象に行われた。全員が同じ抗うつ薬から治療を開始し、治療薬に反応しないか、耐容性のない患者は次の段階へ進んだ。その後患者は、認知療法のみ、認知療法と抗うつ薬の併用、抗うつ薬単剤か、または、他の抗うつ薬との併用など、さまざまな治療法でグループ分けされた。
米国立精神衛生研究所(NIMH)の資金提供で、6年かけて行われた今回の研究では、患者の67%が4段階の最初のステップ終了までにうつ病症状の完全な寛解を認めた。寛解の得られる機会は、第3ステップ(14%)や第4ステップ(13%)まで進むよりも、第1ステップ(37%)と第2ステップ(31%)までの方が高かった。その後1年間の追跡調査期間中、より多くのステップを経た患者に比べ、少ないステップで回復した患者ほど再発率は低かった。