やせすぎモデル騒動でファッションシーズン幕開け
米国のファッションシーズンは2月2日のニューヨークでのファッションショーで幕を開けた。今年は、やせすぎモデルの論争が、オートクチュールと共に話題になりそうだ。この騒動は、昨年(2006年)南米で2人のモデルが拒食症で死亡したことで本格化し、それ以降エスカレートしている。マドリッドでは、市主催のショーにBMI(肥満指数)18未満のモデルは出演させないことを決め、ミラノもこれに続いて、モデルのBMIは18.5以上と定めた。
しかし米ファッションデザイナー協議会(CFDA)は、ショーモデルにBMI制限を設けることを支持していない。1月に発表されたCFDAの任意の「健康イニシアチブ」の対策は「若い女性の健康をサポートする環境作り」で、業界に対し、摂食障害の徴候に関する教育、障害があると特定されたモデルへの治療の勧め、16歳未満のショーへの参加禁止などを求めている。
しかし摂食障害の専門家は、ファッション業界にはより厳しい対応が求められると忠告する。米Sheppard Pratt ヘルスシステム(メリーランド州)摂食障害センターのHarry Brandt博士は、ファッション誌や女性誌の超やせ型モデルのイメージは、間違いなく少女の自己像に影響を与えると述べる。米国摂食障害協会(NEDA)によると、米国には、少女や女性を含めた拒食症や過食症などの摂食障害患者が1千万人以上いる。この障害は、精神疾患で最も死亡リスクが高い。
もちろん、モデルのすべてが摂食障害ではなく、ファッション業界を擁護する人もいる。元スタイリストで現「Vibe」誌ファッションディレクターのMemsor Kamarake氏は、モデル採用にBMI制限を設けることに反対する。「第一優先課題は、モデルが確実に健康であるようにすること。「この体形はよくて、これはよくない」という領域に踏み込めば、恐ろしいことになる」という。そして、多くの超やせ型モデルは生来やせ体質で、健康だと述べている。
これに対しBrandt氏は、その主張を「現実逃避」だという。「実際には、後になってから「私は外見を維持させるために飢えに耐えていた」と告白した超有名モデルの例がある」と述べる。故に、問題があると特定されたモデルを助けるというCFDAのガイドラインは機能しないという。同氏は、一定のBMIに満たないモデルは、摂食障害をチェックするために健康診断を義務付けるべきだとしている。