新しい検査法で認知症を早期に発見
標準検査(テスト)で見落とされがちな高齢者の早期の軽度認知障害が、新しい手法で検出可能なことが米国の研究で明らかになった。検査法を開発した米セントルイス大学(ミズーリ州)の研究結果は、米医学誌「American Journal of Geriatric Psychiatry」11月号に掲載されている。
研究者らによると、新しい手法であるセントルイス大学精神状態検査(SLUMS)に要する時間は7分で、その内容は、簡単な計算をする、動物の名前を書く、過去の出来事を思い出す、時計の長針・短針を書き入れるなど。
研究著者で同大老年病医学準教授のSyed Targ博士らは、60歳以上の高齢男性705人を対象に、現在最も多く使用されている認知テスト法であるミニ精神状態検査(MMSE)とSLUMSとを比較。その結果、両検査とも認知症を検知するものの、SLUMSのみが軽度の認知障害患者を特定できることが明らかになった。
同博士は「MMSEでは、特に教養の高い患者を対象にした場合や軽度の神経認知障害の検査に限界がある。また、SLUMSでは初診での発見が可能だが、MMSEでは追跡検査が必要となる。SLUMSによる軽度の認知症の早期発見は、医師に早期治療の機会を提供することができる」と述べている。