薬剤溶出ステントが年間2,000人以上の死亡原因に
薬剤溶出ステント使用が、米国で毎年2,000人以上の死亡原因となっているとする論説記事が、米国心臓学会(ACC)のウェブサイトに掲載された。
ステントは、狭窄または閉塞した動脈を開存するために使用する小さな金属性のディバイス(器具)。動脈内部に留置し、薬剤を徐々に放出する薬剤溶出ステントは、留置部位の炎症を軽減することにより、動脈の再閉塞を予防する。
ニューヨークタイムズ紙によると、論説では、従来の金属ステントでも患者の致死性の血栓や重篤な心臓発作リスクが低く、薬剤溶出ステントと同等の効果があるとしている。論説者で、米Cedars-Sinaiメディカルセンター(ロサンゼルス)のSanjak Kaul、George A. Diamond両博士は、研究では、金属ステント使用者に比較して、薬剤溶出ステント使用者では、血栓リスクが年間0.6%上昇することが明らかになったと述べている。
米国では毎年100万人以上がステントを留置しており、その80%以上が薬剤溶出ステントを利用している。論説者らが、薬剤溶出ステントによるリスク上昇と、ステント利用者での血栓発症による45%の死亡率に基づいてら算出した結果、薬剤溶出ステントは米国で少なくとも毎年2,160人の死亡増加に寄与していることになるという。