ブドウのたねが癌(がん)を防ぐ
ブドウ種子抽出物に大腸腫瘍の成長を妨げる作用があることが、培養細胞およびマウスを用いた研究で示された。米コロラド大学健康科学センター(デンバー)薬学部門教授Rajech Agarwal氏らのチームによると、マウスにこの抽出物を投与したところ、進行性大腸腫瘍に44%の縮小がみられたという。
研究チームはさらに、ブドウ種子抽出物が癌(がん)の成長を妨げる機序も突き止めた。細胞周期を「凍結」させ、癌細胞の自己破壊を引き起こす腫瘍内の蛋白(たんぱく)「Cip1/p21」の作用が、ブドウ種子抽出物によって高められるのだという。この知見は、医学誌「Clinical Cancer Research」10月15日号に掲載された。
Agarwal氏らは過去の研究で、別のタイプの腫瘍でもブドウ種子抽出物に抗癌作用がみられることを示している。ブドウの皮や種には、プロアントシアニジンという抗酸化フラボノイドが豊富に含まれている。
ただし、今回の結果について「今すぐブドウ種子エキスを買いに走るよう勧めているわけではない」とAgarwal氏は述べている。用量や副作用については不明な部分が多く、むやみに利用するのは危険だという。ブドウ種子抽出物が癌を縮小させることと、その機序を明らかにした点でこの前臨床試験は価値のあるものだが、ヒトの癌の治療法および予防法として試験を実施するまでには、さらに多くの研究が必要とのこと。