車中での喫煙は窓を開けても有害
ドライブ中に窓を開けていても、受動喫煙による害を完全に避けることはできないことが明らかにされ、米医学誌「American Journal of Preventive Medicine」11月号に掲載された。そのレベルは、小児や高齢者のような感受性の高い人に有害であると米国環境保護庁(EPA)が定めた基準値を超えているという。
米ハーバード大学(マサチューセッツ州)公衆衛生学部のVaughan Rees氏らによる今回の研究では、車中のチャイルドシートに汚染監視装置を設置し、ボランティアの喫煙者が1時間の距離を運転した。計45回の走行のうち、一部では窓をすべて全開にし、残りは運転席側の窓を2インチ(約5センチ)のみ開け、ほかの窓は閉めたままにした。
汚染監視装置により、「PM2.5(大気中の粒子状物質で直径が2.5μm以下のもの)」の濃度を測定。EPAによる大気質指標(AQI)によれば、1立方メートル当たり40μgを超えるPM2.5に24時間曝露すると、小児、高齢者および特定の医学的条件にある人の健康にリスクが生じるという。250μgを超えると誰にとっても有害である。
結果は、車窓を全開にした場合、車内のPM2.5レベルは平均51μgで、運転席の窓のみわずかに開けた場合は272μgであった。一般道を時速40マイル(約64km)で走った場合、車内の空気には大きな流動がみられるものの、煙は残り続け、受動喫煙を完全に避けるには十分とはいえないとRees氏は述べている。米国の一部の州では、小児を受動喫煙から保護するため、乗用車内での喫煙を禁じている。