関節リウマチ患者を早期発見する新しい評価法
関節症状のある患者の関節リウマチ(RA)への進展を予測する新しい評価法が、オランダの研究者によって開発された。この評価法により、関節リウマチ発症の可能性がある患者とそうでない人を識別し、早期治療を促進して関節の損傷を減らす一方で、発症の可能性がない人を治療薬の副作用から守ることが期待できる。
自己免疫疾患とされる関節リウマチは、最初は確定診断の基準を満たさない関節症状(関節炎、関節痛)として発現することが多く、このうち約50%が自然に回復し、残り50%が関節リウマチに進展する。Leiden ライデン大学医療センターリウマチ専門医のAnnette van der Helm-van Mil博士は、現時点での標準治療薬メトトレキサートを用いた関節リウマチ治療の問題点は、将来的な関節障害は軽減するが、毒性もあることだという。関節リウマチを有する患者の早期特定が非常に重要な理由がここにある。
医学誌「Arthritis & Rheumatism」2月号掲載の研究では、オランダのチームは、関節症状を訴えた患者570人を対象に調査を行った結果、1年後に117人が関節リウマチに進展した。性別、年齢、硬直や腫れのある関節の数や部位、3件の検査結果など、9種類の可変要因を特定し、これら要因をアルゴリズムに組み込んだ結果、90%近い正確さで関節リウマチ発症が予測できた。0〜14点の「予測規定」に基づく評価点数で、6点以下の発症率は約9%、7点は50%、8点以上は84%、10点以上は100%だった。
米ジョンズ・ホプキンズ関節炎センター(ボルチモア)のClifton Bingham III博士は「どの患者を積極的に治療すべきかを知ることは患者管理の上で役立つ」としながらも、この手法を米国で利用するには考慮すべき点があると述べる。米国では、初期症状のある患者は、まずプライマリーケア医に診断を求め、専門医を訪れた際には、すでに関節リウマチに進展しているケースが多い。このため、今回開発された評価法は、専門医よりもプライマリーケア医に有用であるとしている。
Bingham博士はまた「我々は、今回の研究のような疑問よりも、関節リウマチに進展した患者に最も効果的な治療法は何かなど、治療に関する疑問により多く直面するはずで、この疑問に対する答えはまだ見つかっていない。ただし、今回の研究で使用された手法が、この疑問を解くために利用できる可能性もある」と述べている。