脂肪分の富んだ魚に腎癌(がん)予防効果
サケやイワシなど脂肪分に富んだ魚に多く含まれ、心臓に良いとされるオメガ-3脂肪酸には、腎癌(がん)の予防効果もあることが、スウェーデンの研究で明らかにされた。女性6万人を対象に、15年間にわたって追跡したもので、週1回以上脂肪性の魚を食べた女性は、魚食をしていない女性に比べ、腎癌で最も一般的な腎細胞癌のリスクが44%低減した。脂肪分の少ない魚やエビ・カニ類を食べた女性では関連性は認められなかった。
米国癌協会(ACS)分析疫学部長のEugenia Calle氏は、魚の消費量と癌リスクに関する過去の研究では、結果の矛盾や魚の種類が区別されておらず限界があった。動物研究では、オメガ-3脂肪酸とビタミンDを豊富に含む魚に癌予防効果を示すデータが得られているものの、今回の研究が、脂肪性の魚と腎癌を結びつけた唯一のものとしている。
米国医師会誌「JAMA」9月20日号に掲載された今回のカロリンスカ研究所(ストックホルム)Alicja Wolk氏らの研究では、対象となった女性6万1,433人のうち、1987年〜2004年の追跡調査期間中に腎癌と診断された女性は150例。また、研究開始時に脂肪性の魚を長期間摂取していた女性では、10年後のリスクは74%低いことも明らかになった。
しかし、今年(2006年)1月、同誌に掲載された38以上研究をレビューした報告では、魚の多量摂取と癌予防効果を認める証拠は得られておらず、オメガ-3脂肪酸の健康効果は認められるものの、万能薬ではなく、癌予防はないとされている。
Calle氏は「腎癌は米国では一般的な癌ではなく、公衆衛生に与える影響は、乳癌、肺癌、前立腺癌のように大きくはないが、脂肪性の魚が他の癌リスクも軽減するならば、一般に向けた重大なメッセージとなるに違いない」と述べている。