口腔内の悪玉菌を狙い撃ちする新兵器
虫歯の原因菌を見つけ出して破壊する、新しい「高性能」の抗菌治療法が開発された。米国立歯科頭蓋顔面研究所(NIDCR)の助成により開発されたこの治療法は、口腔内の善玉菌には害を及ぼさないという。
この治療で用いられるのは、STAMP(特異選択的抗菌ペプチド)と呼ばれる分子。STAMPは2面性の構造を有しており、その1つは破壊すべき種類の細菌へとSTAMPを誘導するための構造、もう1つは標的となった細菌を破壊する小さな「爆弾」にあたる構造から成り立っている。
最初の実験室試験では、第一世代STAMPに、近くの無害な善玉菌を傷つけることなく30秒以内に虫歯の原因となる連鎖球菌ミュータンス(Streptococcus mutans)を除去する効果が認められた。この研究は、医学誌「Antimicrobial Agents and Chemotherapy」11月号に掲載された。
研究チームの1人、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)歯学部のWenyuan Shi博士によると、連鎖球菌ミュータンス用のSTAMPは既にヒトを対象とした研究に入っており、練り歯磨きや口内洗浄剤への利用も可能だという。このほかに、歯周病や口臭に関与する特定の細菌を標的とするSTAMPも開発中とのこと。Shi氏は、いずれこの技術を医学面で応用する可能性も探っていきたいと述べている。