憂うつな気分とうつの症状って何が違うの?
憂うつな気分は、病気?
気候が穏やかになり、体も心もホッとする5月は、就職や人事異動、新入学、新学期など、環境の変化にも少しずつ慣れ始めるころです。ところがこの時期は、新しい環境になんとなく対応できず、精神的に沈んだり、無気力になってしまう人も少なくありません。
どんな人でも、嫌なことがあると憂うつな気分になります。これはだれにでもあることで、とくに病気ではありません。このような状態を、医学的には「抑うつ反応」と呼び、心の病気「うつ病」とは区別しています。
体の症状が前面に出てくる「軽症うつ病」
抑うつ反応もうつ病も、落ち込んだ状態になることに変わりはないのですが、抑うつ反応の場合は、ほかのことで気が紛れているうちに徐々に元気になり、重苦しい気分は数日で消えていきます。
一方うつ病は、ほかのことで気が紛れたり、気分がよくなることがあまりありません。落ち込み方も強く、無気力、無感動、不眠や食欲不振、体の痛みなどが現れて、日常生活に支障が出てきます。午前中は憂うつな気分がとくに強く、夕方になるとやわらぐ、もしくは別人のように元気になる例もあります。この状態を、日内変動と呼んでいます。
近年では、うつ病ほど重くない症状の「軽症うつ病」にかかる人も増えています。一般的なうつ病の症状よりも、憂うつ感や不安感などは軽く、頭痛、背中の痛み、腰痛など身体症状が前面に現れることが多いようです。
自分の状態をチェックしてみましょう
現在、世界保健機関(WHO)の報告によれば、全人口の3〜5%がうつ病にかかっているとされています。5%とすれば20人に1人の高い確率です。あなたの身近にかかっている人がいるとしても、それは十分にあり得ること。うつ病は、誰もが悩む可能性のある、よくある状態なのです。
うつ病は、早期に適切な治療をすれば治ります。憂うつ感や不安感が強かったり、なんとなく体調のよくない状態が続く場合は、早めに心療内科か神経科、精神科などを訪れてみるのもいいかもしれません。
以下に、自分で簡単にできるうつ病のセルフチェックリストを紹介します。各質問項目を読んで、「ない(または)たまに」「ときどき」「しばしば」「いつも」の4つのなかから当てはまるものを1つずつ選んで、合計点数を出してみてください。もちろん、これだけでうつ病かどうかを診断することはできませんが、自分の状態を知るひとつの目安になるでしょう。